*

「日本人作家、怪獣を目撃」トルコ紙

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


私の謎の物体目撃について、「アナトリア通信」という通信社を介し、トルコの全国紙のうち「ザマン」「イエニ・シャファック」の2紙が取り上げたという報告が、イスタンブールより入った。
(報告者は、今回の取材を手伝ってくれた慶応大学大学院生で、これからトルコの大学に留学する末澤寧史(すえざわ・やすふみ)君である。)
※アナトリア通信配信の写真
上はボートで探索する私。下は岸辺で位置確認をするカメラマンの森清と末澤寧史。
特に「イエニ・シャファック」紙では、裏面(日本の一般紙ならテレビ欄にあたる部分)のトップニュースとして写真三枚にわたってでかでかと出ているという。
いっぽう、トルコの地中海側の町アンタルヤに住む日本人女性「Tulipさん」からも
ご連絡をいただいた。
こちらは旅行者向けのウェブサイトで記事を見たという。
わざわざ翻訳してくださったので紹介させていただく。
配信元が同じだろうから、新聞2紙と内容はほとんど同じだろう。
(なお、ワンはトルコ語でVANと書き、日本語ではヴァンとも表記される)


「ヴァン湖の怪獣を日本人達も見た」
『講談社出版の「Shosetsu Tendai」(「小説現代」の誤り)のライター高野秀行氏を始めとする日本人記者達は、10日間に50人以上の人々とインタビューを行い、ヴァン湖で住むと伝えられる怪獣についての事実を収集。
「ミリエット」紙のドガン・ハベル・アジャンスによると高野氏は調査
を終えヴァン湖に戻る際、ゲバシュ市にあるアルトゥンサチュ村近くのヴァン湖で
怪獣に似た物体に遭遇し海岸から約300mはなれたところに見えるその物体をカメ
ラに収めました。
ルポルタージュを終えた後、このような物体に遭遇し、非常に興奮していると述べる
高野氏は撮影した映像をユジュンジュ・ユル大学(YYU)の教員達に見せたが、
水上に全く出現することのない物体が怪獣であるかどうかは画像から判断できないと
いう結果となりました。
高野氏とその一行はヴァン湖でみた物体が何であるか確定するために、翌日湖にボー
トで出航、一方YYUの学者達はその物体が海藻もしくは岩の一部ではないかと説
明。
高野氏は出航から20分後、前日に物体を見た場所にたどり着き調査を始めたものの
全く痕跡はなし。インタビューや目にした物体からヴァン湖で大きな怪獣が住むと信
じると強調する高野氏は日本の学者に調査を依頼すると表明。
将来ヴァン湖で更に広い範囲で科学的な調査をする目的で、再度この地に訪れると言
う一行は、調査を終え母国に戻りました。
…うーん、いろいろ事実とちがう部分があるなあ。
特に最後の「ヴァン湖で大きな怪獣が住むと信じると強調する」という部分と、
「再度この地に訪れると言う」という部分は私の言葉ではない。
肝心の日本人がそう言わないと記事がおもしろくならないから
勝手に付け加えたのだろう。
まあ、これはご愛嬌だ。
イスタンブールの末澤君によれば、「テレビでもいくつかの局で報じられたようだが、
見ていないので詳しいことはわからない」とのこと。
これからいったいどうなることか、私にもわからないまま、この「事件」は流れている…。

関連記事

no image

新年あけましておめでとうございます

昨年の出版界は、一般社会に輪をかけた未曾有の大不況だったようである。 その影響は直接間接に私のところ

記事を読む

no image

『謎の独立国家ソマリランド』PV&オタク本の魔力

『謎の独立国家ソマリランド』発売1カ月を記念して(?)、 プロモーション映像を作った。 http

記事を読む

no image

「倒壊する巨塔」は訳が素晴らしい!

ローレンス・ライト著、平賀秀明訳『倒壊する巨塔』(白水社)を読んだ。 素晴らしい本だった。 「イス

記事を読む

no image

マンセームー脳人間、読書界へ進出!

学研「ムー」的なものに脳が染まってフリーズしてしまうという恐ろしい状態、 それが「慢性ムー脳人間」。

記事を読む

no image

甲子園が割れた日

中村計『甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実』(新潮文庫)を読む。 松井のこの出来事のとき、

記事を読む

no image

ワット・パクナム

成田にあるワット・パクナム別院に行く。 日本にたった一つあるタイ人のお寺だ。 ここでウチザワさんが「

記事を読む

no image

本の雑誌年間ベスト1

本の雑誌1月号が届く。 恒例の年間ベストテンの1位はあの新人の快著。 しごく納得。 あの秘境ノンフ

記事を読む

no image

『誰も国境を知らない』

西牟田靖『誰も国境を知らない』(情報センター出版局)の書評を 「北海道新聞」に書く。 新聞の書評は

記事を読む

no image

あの素晴らしい旅行記をもう一度

なんとなく小島剛一著『トルコのもう一つの顔』(中公新書)を再読したが、 あらためて素晴らしい本だ。

記事を読む

no image

ケープタウンはよいところ

ケープタウンに滞在中。 ここはヨハネスブルグに比べると、空気もきれいだし 治安もいい。 といっても、

記事を読む

Comment

  1. タカ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; InfoPath.1; .NET CLR 1.1.4322)
     うわー高野さん、ボート一つで湖上ですね。怖くなかったですか?
    水も冷たかったでしょうに。
     新聞・TVで取り上げられましたか。羨ましい。
    FarShoreの方でも取り上げられるか、要チェックですね。
    http://farshores.org/

  2. タカ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; InfoPath.1; .NET CLR 1.1.4322)
    http://farshores.org/c06mon9.htm
    と思ってFarShoreをチェックしたら早速載っていましたです。↑
    世界中のUMAファンに知れ渡りましたね!

  3. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.0)
    ボートを見てびっくりです。もっと大きなものかと思っていました。これじゃ、怪獣が出てきたら転覆してしまいそう、、、。なんて勇敢なんでしょう!

  4. タカノ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    これは玩具屋で20リラ(約1800円)で買った幼児用のビニールボートです。
    勇敢なんじゃなくて、お金がなくて、バカなんですよ。

  5. nanasi より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322)
    下世話な話で恐縮ですが、奥様が1千万ゼニーgetされて、
    高野先生の活動費用も潤沢になったのではなかったですか?
    それなのにお金がないとは・・・?

チューリップ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年11月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
PAGE TOP ↑