*

高島俊男先生の人生は失敗だったらしい

公開日: : 最終更新日:2012/07/19 高野秀行の【非】日常模様

敬愛する高島俊男先生の新刊『お言葉ですが…別巻⑤ 漢字の慣用音って何だろう?』(連合出版)を読む。相変わらず切れ味のよい文章および解説で、いつもながら、「あらゆるジャンルに高島先生がいればいいのに」と思ってしまう。

ところで、本書には見過ごせない記述がある。

中学のときの恩師から「だれもがすることはするな」と教わり、高島先生は強く影響を受けた。
先生は「以後五十年、この言葉にしたがって歩いてきた」と言い、「私の人生は失敗であったが、なぜ失敗にあったかをかんがえてみると、その出発点にこのことばがある」と断言している。

先生はご自分の人生を失敗だったと思ってらっしゃるのか。
もしそうだとすると、それは素晴らしい失敗だったのだと思う。私のように先生の新刊を毎回楽しみにし、その都度、先生の他のエッセイもさかのぼって読んでしまう読者を生み出したのだから。

そうそう、先生の他のエッセイに書かれていた、「預言者=言葉をあずかる者」は間違いという話を前からここに書こうと思っていたのだ。
それは次回と言うことで。
高島先生のさらなる失敗を強く希望する次第です。

関連記事

no image

異常ラジオ「東京ガベージコレクション」出演

平山夢明兄いがパーソナリティを務めるTOKYO FM「東京ガベージコレクション」というラジオ番組

記事を読む

no image

昔の未来

夜、珍しくテレビをつけたらNHKでちょうどNHKスペシャルが始まるところだった。 時節柄だろう、オリ

記事を読む

no image

彼らもイランに行った

自分の本が出ると、意味もなく書店に“確認”に行くという癖は 何冊出しても換わらない。 今回も『アジ

記事を読む

no image

舟を編む

何とは言わないが、ひどい小説を読んでしまい、 「とにかく上質な作品で口直ししたい!」と本屋の棚を彷

記事を読む

no image

山松ゆうきちがインドだ

旅行者業界を震撼させた山松ゆうきち『インドに馬鹿がやって来た』(日本文芸社)の、なんと続編が出版さ

記事を読む

no image

ソマリ語国際放送・東京支局を開局

ソマリランドの首都ハルゲイサに本社をおく「ホーン・ケーブル・テレビジョン(HCTV)」という ソマリ

記事を読む

no image

すばらしき未知動物対談

作家の宮部みゆきさんと対談した。 テーマはずばり「未知動物」。 宮部さんはネッシーをはじめとする未知

記事を読む

no image

「クロワッサン」で料理デビュー

明後日(3月25日)発売の「クロワッサン」が届いた。 表4(裏表紙?)をめくったところに、内澤

記事を読む

no image

小さいおうち

中島京子の直木賞受賞作『小さいおうち』(文藝春秋)を読む。 まあ、書き出しから文章がすばらしい。

記事を読む

no image

勇午

先週から慌しい日が続いている。 人に会ってばかりで、いつ誰と会ったのか忘れてしまうほどだ。 義兄の

記事を読む

Comment

  1. 三十郎 より:

    ご本人が「私の人生は大成功であった」とは言わないだろうが。検索でトップに来るようなところに失礼なことを書くものじゃないよ。」

三十郎 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年9月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑