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無許可チムスルウォンとは何か

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

『腰痛探検家』の韓国語版(パク・スンヒ訳、Bookie出版)が刊行されたらしい。

韓国で本を読む人の多くは女性とのことで(「男は酒ばかり飲んでいます」と私の別の本を担当した韓国の女性編集者は言っていた)、
とてもかわいらしい表紙だ。
今は亡き愛犬ダルマらしき犬が登場しているのが嬉しい。

本書の担当編集者は日本語に堪能な若い女性で、私にも日本語でメールを書いてくる。
前出の別の担当の人も日本語が堪能であり、どうして韓国の女性編集者はそんなに優秀で、しかも日本語を当たり前のように勉強しているのだろうか。

もっとも、別の担当の人は「私、実は「プロレスラーのミノワマンの大ファンで…」と不思議なことを言っていた。会ったときは「高野先生の大ファンです!」と言っていたのに、
後半はミノワマンの話しかしなかったくらいだ。
ミノワマン恋しさで日本語を学習したのだろうか。

それはさておき、「腰痛~」の担当者のホさんによれば、「色んな新聞で絶賛の書評を載せてもらったし、読者の反応も結構熱いです」とのこと。
しかも驚くのは、「2008年以来ずっと先生の新しい作品を待ってた人の数も多かった」ということ。
高野本のファンというマニアックな人たちは韓国にもいたのか。

ここで知りたいのは韓国読者がどんな反応をしているかということ。
ホさんは日本語が上手だが、かなり頑張って辞書などを引き、文章を書いているらしく、訳すのに時間がかかるとのこと。
そこで、とりあえずは韓国語のネットでのレビューを一つ教えてもらった。
韓国最大のOFF-ON Line書店である「教保文庫」
自動翻訳にかけると、こんな感じである。

日本の来探検家、高野秀行のどたばた腰痛治療器!
“エッセイ系の奥田英朗”、高野秀行が痛みの仲間たちに捧げる節通常献辞 “腰痛探検家”。”誰も行かないところに行って、誰もやらない仕事をして、その経験を楽しく使うもの”がモットーの来探検家、作家、高野秀行が “腰痛治療法”という密林で2年の間アクジョンゴツハン内容を盛り込んだコミック透明基である。四十二歳になったし、視覚障害者とのブラインドサッカーをして、 “腰痛地獄”に陥った著者は、腰痛という密林から生還することを目的と地図のない旅を始める。無許可チムスルウォンを皮切りに、インナーマッスル療法、PN​​F療法、整形外科、挙句の果てには動物病院までの腰痛患者が体験することができるほとんどすべての治療法を経験したのだ。著者特有のユーモア感覚と鋭い洞察力で腰痛の世界をドンブンソジュハン経験を描いたこの本を読んで、慢性的な痛みがある読者は、熱い共感と上はもちろん、ユーモアと楽しさを感じるようになるだろう。

うーん、なかなか面白い。「エッセイ系の奥田英朗」なんて書いているのは、奥田さんの無類に笑えるエッセイがまだ韓国で紹介されてないからなんだろう。
「来探検家」もわからない。「大探検家」の間違い? そんなわけ、ないよねー。「探検家ライター」かな。

海の生き物みたいな変な言葉も登場する。
「アクジョンゴツハン」はおそらく「悪戦苦闘」だと想像できるが、「無許可チムスルウォン」とか「ドンブンソジュハン経験」とは何のことかさっぱりわからん。
椎名誠の世紀末SFに出てきそうな何でもアリの世界みたいで、ちょっとワクワクしてくる。

他のレビューも探してもらおう。

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Comment

  1. hu より:

    正確な翻訳を載せておきますね。元の韓国語に誤字があり、誤訳の元になっていたようです。

    “エッセイ界の奥田英朗”、高野秀行が痛みの仲間たちに捧げる抱腹絶倒の献辞 “腰痛探検家”。”誰も行かないところに行って、誰もやらない事をして、その経験を楽しく書く事”がモットーの奥地探検家であり作家、高野秀行が “腰痛治療法”という密林で2年の間悪戦苦闘した内容を盛り込んだコミック闘病記である。四十二歳になった年、視覚障害者とブラインドサッカーをして “腰痛地獄”に陥った著者は、腰痛という密林から生還することを目的に地図のない旅を始める。無許可の針術院を皮切りに、インナーマッスル療法、PN​​F療法、整形外科、挙句の果てには動物病院まで腰痛患者が体験することができるほとんどすべての治療法を経験したのだ。著者特有のユーモア感覚と鋭い洞察力で腰痛の世界を東奔西走した経験を描いたこの本を読んで、慢性的な痛みがある読者は、熱い共感と慰労はもちろんのこと、ユーモアと楽しさを感じるようになるだろう。

    来探検家、は「オジ タモムガ(奥地探検家)」のオジが、「来る」という動詞と混同されたためです。
    自動翻訳はなかなかの精度だと思うんですが、漢字語に弱いみたいですね。「悪戦苦闘(アッチョンゴトゥ)」「東奔西走(トンブンソジュ)」「針術院(チムスルウォン)」くらいは普通に使われる名詞なのに。それにしても、挿絵がかわいい。
    僕も韓国の出版に関わっている人間ですが、韓国の出版界は、ジャンルによっては新刊書の1/3以上を日本語からの翻訳に頼っています。そのため編集者や出版エージェントに日本語会話がうまい人は多いですが、会話力に比べて書く能力が一般的に低いのが特徴です。日本語と文法が近いけど漢字を知らないのが主な理由です。逆に漢字が得意で文法が異なる中国語の話者は、朝鮮族や日本語と発音体系の近い上海語話者を除けば、書くと立派な文章が書けるのにしゃべるとどうにもたどたどしい人が多いですよね。

    • 高野 秀行 より:

      さすが高野本の読者はレベルが高い!
      ありがとうございます。一気に謎が解けました。
      韓国語、おもしろそうですねえ。
      もうこれ以上、外国語かじりは止めようと思っているのですが、
      ついやってみたくなります。

  2. nithch より:

    原文を見ると、来探検家の部分は、「奥地探検家」ですね

    アクジョンゴツ ハン→悪戦苦闘した
    無許可チムスルウォン→無許可鍼術院
    ドンブンソジュ ハン→東奔西走した

  3. 高野 秀行 より:

    huさんとほぼ同時にコメントをいただきました。
    ドンブンソジュ経験が「東奔西走」経験だったとは。

    あと、今気づいたんですが、私が通っていた鍼灸院に「無許可」はなかったですよ。
    これはレビュアーの勘違いなんでしょうね。

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    • 毎月、新しい本がやってくるので、毎月本の整理をしなければならない。で、その間に気になった本を手にとって立ち読みしてしまう。今日立ち読みしたのは中島京子さんの『妻が椎茸だったころ』(講談社)。短編集だが、表題作がすばらしいのだ。家で立ち読み感動。 ReplyRetweetFavorite
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