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漁師の作家

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

 「本の雑誌」9月号が出た。特集は「エンタメ・ノンフの秋」。
 これを機に各書店で、エンタメ・ノンフィクションの棚作りが進めばいいのだが。
        ☆         ☆        ☆
 そのエンタメ・ノンフ特集を企画してくれた本の雑誌の営業・杉江さんと飲む。
 彼はなぜか他社の本である『怪獣記』の営業をしてくれているし、
そのついで(逆か?)にエンタメ・ノンフの普及活動も行ってくれている。
 そのわりに二人で飲むのは初めてだ。
 本の雑誌御用達である、新宿の居酒屋「池林坊」へ行く。
 扉を開けたら、入り口すぐのテーブルにいきなり椎名誠がいて、驚く。
 今までテレビや写真でしか見たことがない椎名誠がいて驚いたのもあるが、
長年の日焼けと潮焼けで「ザ・漁師」という風貌にも驚いた。
 その唐突さと存在感は並みでない。
 思ったほどでかいという感じでなかったが、逆三角形で引き締まり、無駄な贅肉が一切ない体はとても還暦すぎとは思えない。
 まさに「現役の漁師」だ。
 会社でしょっちゅう接しているはずの杉江さんがやけに緊張しているので、
私もますます緊張した。
 椎名さんは編集者二人と打ち合わせ中だったので、挨拶だけで話はしなかったが、しばらくして私たちのテーブルにやってきて、
「ここは勘定は僕がもつから、好きなだけ飲んで行きなさい」と言って、去っていった。
 年をとっても、かっこいい男はかっこいいのである。

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Comment

  1. 太郎 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    うーん、椎名誠がそんなにカッコいいのか!!
    「ここは勘定は僕がもつから、好きなだけ飲んで行きなさい」と言って、去っていった。
    高野さんも、そういう台詞を早く言って下さい〔日本で!!)

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