*

炎のジプシー・ブラス

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様


ルーマニアを代表するロマ(ジプシー)ブラス、ファンファーレ・チォカリーアのドキュメンタリー映画『炎のジプシー・ブラス』を観た。

実は2,3年前にも観たことがあるのだが、当時はジプシー・ミュージックを全然知らなかった。
今観ると、エミール・クストリッツァ『アンダーグラウンド』でも使われて有名になった「カラシニコフ」や「メセチナ」といった曲も普通に演奏されているのに驚く。

映画はどこまで事実で、どこまで作りなのかわからないが、そんなことはもはやどうでもいいのだろう。

結婚式に呼ばれて演奏に出かけるとき、トランペットやチューバといった楽器をむき出しのまま
車の屋根に積んでひどい泥濘の道をめちゃくちゃに揺られながら出かける。

ヨーロッパツアーでは移動のバスの中でみんなで「口三味線」で練習し音を合わせていく。

村の教会は十字架が傾いている。アヒルやガチョウが走り回り、人々は鉄道の線路を道代わりに歩く。

まるでクストリッツァをパクッたようだが、クストリッツァがジプシーの音楽と生活を手本に映画を作っているわけだから
当然と言えば当然だ。

とにかく、この自由さがなんとも言えない。ルーマニア、行ってみたいなあ。

関連記事

no image

七夕に願いを

本日やっと東京の自宅に戻った。 ハルゲイザ(ソマリランドの首都)はさすがに遠い。 →ジブチ→アジスア

記事を読む

no image

「自分の枠」と「屠畜感覚」

先日コダックフォトサロンで行った角田光代さんとの対談が 講談社の文庫情報誌「IN☆POCKET」に掲

記事を読む

no image

ムベンベ写真本

お盆休みが終わってしまい、プールも混みはじめてきた。 残念である。 ところで、『幻獣ムベンベを追え』

記事を読む

no image

ワンの大地震

バンコクで大洪水、そしてトルコ東部のワンでは大地震が発生。 私にとって思い入れが深く、知人友人が何人

記事を読む

no image

衝撃の超人たち

どこへも行かず、誰からも連絡が来ず、飲み会もない平和な日々が続いている。 お盆+オリンピックはほんと

記事を読む

no image

凶悪犯罪者に見る人間の神秘

  ブログを始めて困ったのは、自分がろくに仕事もしてないし、心身のトレーニングをすっかり怠っているこ

記事を読む

no image

ソマリランドで今、話題になってること

今、やっと日本でもソマリアの飢饉がニュースになってきたようだ。 では、こっちではどうかというと、ほ

記事を読む

no image

発売が楽しみ?

『シワ夢』文庫版を出しても、少なくとも女性読者は4人残ってくれることが コメントから判明した。 そ

記事を読む

no image

3回目のボリショイ・サーカス

「本の雑誌」9月号の特集「エンタメ・ノンフ座談会」のゲラを校正する。 これがメチャクチャおもしろい。

記事を読む

no image

選定図書って何?

先月出版した『世界のシワに夢を見ろ』(小学館)が日本図書館協会選定図書に選ばれた。 理由はまったくわ

記事を読む

Comment

  1. CHIBASHIYAHAGICHO より:

    ルーマニア、ローマニア、アレキサンダー大王、ナディア・コマネチ、ブラド・ツェペシュ、ドラクール伯爵、串刺し公、ドラキュラ、おいらも行ってみてぇ。

  2. よっしぃ より:

    ロマ映画の名作「ガッジョ・ディーロ」はご覧になりましたか?
    ここでもロマ・ミュージックが
    すごく重要なものとして聞けます

    もちろん「黒猫・白猫」もすばらしい。
    最初に見たとき、「アンダーグラウンド」との
    あまりのギャップに
    「ドリフかよ!」と突っ込みました。名作です!

  3. 高野秀行 より:

    >よっしいさん、
    「ガッジョ・ディーロ」、知りませんでした。
    ロマ音楽は広くて深い。私はまだまだ入口でうろうろしている感じです。

    Amazonのレビューで見ると、すごく面白そうですね!
    早速注文してしまいました。
    観るのが(聴くのが)楽しみです。

よっしぃ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑