謎の独立国家ソマリランド大吟醸拾年古酒
公開日:
:
高野秀行の【非】日常模様

仕事場にしている「辺境ドトール」は昭和の世界だ。
店長夫妻が常に店におり、私たち常連の客と交流している。
店長と常連が、あるいは常連同士がご飯を食べたり、旅行に行ったり、釣りに行ったりしている。
バイトの学生の就職斡旋を常連が手伝ったり、中には常連の会社に就職する人までいたりして、
ちょっと現代日本とは思えない。
常連の一人に、私の本をいつも応援してくれる人がいる。
有名な会社の会長さんで、私の新刊が出るたびに、知る人ぞ知る福井県の銘酒「花垣」をよくくださる。
しかもラベルには私の本の装丁をアレンジしたものを会長自らマックで作製し、印刷所に頼んで印刷するという
気合いの入り方だ。
今回は『謎の独立国家ソマリランド』大ヒット記念として、なんと「花垣」の「大吟醸拾年古酒」にソマリランドがラベリングされた、
もはやこの世のものとは思えないお酒をいただいた。
日本酒の古酒とはなんだか見当もつかないが、美味いことは間違いないだろう。
杉江さんをはじめ、本の雑誌社の方々と一緒に飲みたい。
そうそう、今思い出したが、アブディンが日本に来てすぐ移り住み、3年間暮らしたのが福井だった。
アブは福井弁も自在に操れるらしい。
今度お礼かたがた、アブディンと福井の「花垣」に遊びに行くというのもいいかもしれない。
関連記事
-
-
大家のおばちゃんには誰も勝てない
日曜日、「野々村荘」の大家のおばちゃん宅で宴会をした。 久しぶりに会うおばちゃんは齢83という高齢で
-
-
頑張れ、ミャンマーの柳生一族!
困ったことになった。 ミャンマー情勢である。 私は「小説すばる」誌で「ミャンマーの柳生一族」と
-
-
シャングリ・ラは実在した!
探検部の後輩・角幡唯介の開高健ノンフィクション賞受賞作品 『空白の五マイル』(集英社から刊行予定)の
-
-
炎のジプシー・ブラス
ルーマニアを代表するロマ(ジプシー)ブラス、ファンファーレ・チォカリーアのドキュメンタリー映画『
-
-
半分以上、東京にもどる
昨日の朝、イサーン(東北地方)のウドンターニーから寝台列車でバンコクに到着した。 バンコクは一ヵ月
-
-
移住するなら盛岡がいい
先週の土曜日、盛岡市のMORIOKA TSUTAYAでのトークイベントに行ってきたのだが、盛岡の読書
-
-
不安と緊張を和らげるのは笑い
スーダン人のアブディンから電話がかかってきた。 地震直後の電話では「いやあ、俺が日本に帰ってすぐだか
- PREV :
- 『わが盲想』の意外な落とし穴
- NEXT :
- 山口晃「親鸞」書籍化を熱望!



Comment
アブさんはモスレムですよね?
アルコールはいいのですか?
「わが盲想」を読むとその辺の事情は明らかになると思います!
日本酒の古酒は紹興酒に近い味わいになりますよ。色も琥珀色だし。
福井の嶺北の醸造元では水では無く、お酒で仕込んだ貴醸酒に力を入れているそうです。
以前、件の酒を味わったのですが
ハンガリーのトカイワインに紹興酒の薫りを併せたような
濃厚な甘みが有りつつもスッとした喉越しの良いお酒でした。