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謎の独立国家ソマリランド大吟醸拾年古酒

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

2013-05-17 10.12.29
仕事場にしている「辺境ドトール」は昭和の世界だ。
店長夫妻が常に店におり、私たち常連の客と交流している。
店長と常連が、あるいは常連同士がご飯を食べたり、旅行に行ったり、釣りに行ったりしている。
バイトの学生の就職斡旋を常連が手伝ったり、中には常連の会社に就職する人までいたりして、
ちょっと現代日本とは思えない。

常連の一人に、私の本をいつも応援してくれる人がいる。
有名な会社の会長さんで、私の新刊が出るたびに、知る人ぞ知る福井県の銘酒「花垣」をよくくださる。
しかもラベルには私の本の装丁をアレンジしたものを会長自らマックで作製し、印刷所に頼んで印刷するという
気合いの入り方だ。

今回は『謎の独立国家ソマリランド』大ヒット記念として、なんと「花垣」の「大吟醸拾年古酒」にソマリランドがラベリングされた、
もはやこの世のものとは思えないお酒をいただいた。
日本酒の古酒とはなんだか見当もつかないが、美味いことは間違いないだろう。
杉江さんをはじめ、本の雑誌社の方々と一緒に飲みたい。

そうそう、今思い出したが、アブディンが日本に来てすぐ移り住み、3年間暮らしたのが福井だった。
アブは福井弁も自在に操れるらしい。
今度お礼かたがた、アブディンと福井の「花垣」に遊びに行くというのもいいかもしれない。

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Comment

  1. アブさんのサインが欲しい より:

    アブさんはモスレムですよね?
    アルコールはいいのですか?

  2. HU より:

    「わが盲想」を読むとその辺の事情は明らかになると思います!

    日本酒の古酒は紹興酒に近い味わいになりますよ。色も琥珀色だし。

  3. Silentspice より:

    福井の嶺北の醸造元では水では無く、お酒で仕込んだ貴醸酒に力を入れているそうです。
    以前、件の酒を味わったのですが
    ハンガリーのトカイワインに紹興酒の薫りを併せたような
    濃厚な甘みが有りつつもスッとした喉越しの良いお酒でした。

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    • 単行本の原稿が終わったら急に本が読めるようになった。まだエピローグ書いてないから気を許す段階じゃないんだけど。でも久しぶりに読書の喜びを味わっている。 ReplyRetweetFavorite
    • 今まで野村監督に特に興味がなかったんですが、加藤さんの本を読んで、すごく好きになりました。人間味にあふれた策士というところ、でも言うことは決して奇をてらわないとか。あと、やっぱりサッチー、スゴい(笑) https://t.co/FrRQVs2IX8 ReplyRetweetFavorite
    • あ、そうだったんですね。名監督の知られざる一面を描いているし、著者ご本人の青春記風でもあり、『嫌われた監督』を彷彿させました。落合夫人とサッチー夫人もよく似てるし(笑)いや、面白かったです。 https://t.co/66kmDl74FN ReplyRetweetFavorite
    • 先月から自分の単行本原稿が佳境に入り、読書が全くできなくなっていた。他人の文章が頭に入らない。なんだけど、今日一息ついたあとで、なぜか加藤弘士著『砂まみれの名将 野村克也の1140日』(新潮社)を一気読みしてしまった。あまりにも自分の仕事と関係がなかったのがよかったのかも。 ReplyRetweetFavorite
    • 単行本を一冊書くのはエベレスト登山にも似ている。頂上に近づけば近づくほど一歩進むのが辛くなる。でもようやく『イラク水滸伝』本文の最終稿を書き終えた。あとはエピローグと参考文献、写真のセレクト、地図の作成、ゲラ校正、専門家への確認……頂上までまだけっこうあるな…。 ReplyRetweetFavorite
    • 文庫1位が久生十蘭!そそられる!! https://t.co/OWK4Bvakwo ReplyRetweetFavorite
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