*

ドンガラさん、15年ぶりの緊急来日

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

ScannedImage-2
私がかつて翻訳したコンゴ文学の名作『世界が生まれた朝に』(小学館、絶版)。
その著者であるエマニュエル・ドンガラさんが来日したと弟のジェレミーから連絡を受け、
急遽、恵比寿にあるコンゴ大使館へ会いに行った。
コンゴやアマゾンに一緒に行った鈴木邦弘さんと奥さんのときこさんもやってきた。

コンゴは昨年末に初めて大使館をつくった。
その設立に尽力し、現在トップの地位(領事)にあるのがジェレミーなのだった。

ドンガラさんは今年72歳になるはずだが、最後に会ったときとあまりに変わってないのに驚いた。
5年前に再婚したという、少なく見積もっても20歳年下のフランス人の奥さんを伴い、黄色とグリーンを基調としたアロハのようなシャツを着ている。
えらく若々しい。

大らかで呑気な雰囲気もそのまま。
大使館の客間で、コンゴの「ンドキの森」を撮ったTBS「世界遺産」をみんなで見ていたとき、途中でCMが入って日本の学校が写ると、
「え、これ、コンゴ?!」と驚きの声をあげ、
「そんなわけないでしょ!!」とみんなに突っ込まれていた。

2013.06.12kinshasaそのうち、ジェレミーが気を利かせて日本酒やスルメ、ピーナッツを出してくれ、
プチ宴会状態。
映像は、コンゴ民主共和国(旧ザイール)のキンシャサを舞台にしたドキュメンタリー映画「キンシャサ・シンフォニー」に変わり、
私たちはどっぷりコンゴとリンガラ語の世界に浸っていた。
ジェレミーがときどき長いこと席をはずしているので、
「何してるの?」と訊いたら「あ、今ビザを出してた」というのでびっくり。

そうか、ここは駐日コンゴ大使館で、今彼は業務中なのか。
すっかり自分がどこにいるのかわからなくなっていた。

2013.06.12dongala

(写真:私の右がドンガラさん、左がジェレミー)

 

コンゴ、いいなあ。
ジェレミーがコンゴの首都ブラザヴィルに家を建てているというので、完成の暁にはぜひ訪ねてみたい。
あと、『世界を生まれた朝に』、読みやすくて深い、いい作品なので、
ぜひどこかで文庫化してくれないものか。
個人的な希望はハヤカワepi文庫だが、どこでもいいです。
今なら私とドンガラさんのツーショット写真をオマケに付けますので、お早めにご連絡ください。

追記:
・ドンガラさんとジェレミーについては『異国トーキョー漂流記』(集英社文庫)に書いています。

・「キンシャサ・シンフォニー」はコンゴの庶民がオーケストラと合唱団を組んで
ベートーヴェンの第九を上演するという、驚異のリアル・ストーリー。最高だった。

関連記事

no image

『雪』断念

オルハン・パムク『雪』(藤原書店)を修行のように少しずつ読んできたが、 今日ついに断念。 小説自体が

記事を読む

no image

インドの怪魚ウモッカを探せ!

自分のなかではずっと前から決定していすぎてブログに書くのを忘れていた。 今年の12月中旬から来年の

記事を読む

ときに意味もなく文庫解説一覧

別に意味はないが、書いていた原稿が一段落したので、こんなものを作ってみた。 まず拙著の文庫解説

記事を読む

no image

帰国しました。

やっとモガディシオを脱出し、帰国した。 と言っても、ソマリランドだけど。 でも、プントランドとモガデ

記事を読む

no image

有給の旅人たちとユーフラテス

明日からトルコとシリアへユーフラテス河を見に出かける。 来年、ユーフラテスをカヌーか筏か何かで下り

記事を読む

no image

世にも奇妙なマラソン大会

帰国した。大人の遠足はなかなかにハードだったが、想像以上に充実していた。 今回私が参加したサハラ・

記事を読む

no image

ニュー蔵前本

次回の「辺境読書」では、蔵前仁一『わけいっても、わけいっても、インド』(旅行人)を 紹介することに

記事を読む

no image

イスラム飲酒講演会

昨日は講演が2つ連チャンであった。 一つは午後、小田急線の鶴川にある和光大学。 主にフィリピンや在日

記事を読む

no image

芥川賞受賞の衝撃作

あまりに評判がいいので、磯崎憲一郎『終の住処』(新潮社)を読んでみたら、 衝撃を受けた。 こ、これ

記事を読む

no image

うちの子は中華学校に入れたい

最近、「移民の宴」の取材があまりに頻繁で、 週に3,4回、編集の河井さんとカメラマンの森清と一緒に

記事を読む

Comment

  1. こーすけ より:

    おぉ!高野ファンとしては懐かしい面々の名前が。
    そう。絶版なんですよね。
    手に入れて読んでみたいと願っていますので
    ぜひkindle版でも文庫化でもいいので、読ませてください。
    お願いします。

  2. ドンガラさんに質問です。 より:

    「世界が生まれた朝に」の主人公が列車の汽笛を鳴らすとき、短い音を3回、長い音を3回、短い音を3回、鳴らしていたように記憶しているのですが、これってモールス信号のSOSと同じですよね。偶然の一致なのでしょうか?それとも何か深い意味があるのでしょうか?

  3. 高野 秀行 より:

    >こーすけさん、
    そうですよね、電子書籍なら「再出版」可能ですよね。
    小学館、やってくれないかなあ。

    >ドンガラさんに質問ですさん(ていうのもマヌケだが)
     それは気づきませんでした! 今度ドンガラさんに訊いてみますね。

高野 秀行 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2026年1月
     1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    262728293031  
PAGE TOP ↑