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吾妻ひでおがもたらした超有用情報

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

2013.11.10arutyu吾妻ひでおの『疾走日記2 アル中病棟』(イースト・プレス)を読んだ。こんな細かい漫画を8年も書き続けてきた著者にも驚くが、内容も驚くことばかり。

だいたい、この病院、うちの家族がよく入院していて、アブディン宅の近所でもある三鷹のK大学病院のことではないか。
あの病院にこんな病棟があったんだな。
解せないのは、吾妻さんによると、この病院はすごく飯がまずいということ。
K大病院は食事はとても美味しいと入院している人たちは言う。

私の家族が入院するようになったのは、この3,4年のことだから、吾妻さんが退院したあと、あまりに飯がまずいと悪評が立っているので
大改革が行われたのだろうか。

それはさておき、私が本書でいちばん驚いたのは、「粉末酒」の存在。
佐藤食品工業株式会社という会社が開発したという。
「酒の酒気成分とアルコールをそのまま残し、水分だけを特殊な方法で取り除きました。酒税法でも正式な酒として承認されており、
世界主要17カ国で製法特許を取得しています」とのこと。

これはアル中にとって夢のような酒だと吾妻さんたちは言っているが、
アル中でない私にも夢のようだ。これがあれば、イランのような厳格なイスラム圏でも簡単に酒が持ち込め、飲める!!
しかも佐藤食品のHPを見ると、ワイン、ウォッカ、日本酒、ブランデー、ラムとよりどりみどり。

こりゃすごい!!と興奮していたら、妻に、
「そんなの警察に見つかったらもっとヤバイじゃないの。ヤクだって思われるよ」と言われてしまった。

ま、たしかにそうだ…。

あと、面倒なのはこの粉末酒、業務用のため、どうやら販売が段ボール箱単位らしい。
粉末10キロか12キロって一体どれだけの量なのか。
ちなみに、用途はお菓子やジャム、漬け物を作るための料理酒用らしい。

しかし、山やアウトドアへ酒を持っていくことを考えるとやはり惹かれる。
例えば、ソマリランドをラクダで旅するときも使えるじゃないか。
吾妻ひでおの漫画にこんな有用情報があるとは夢にも思わなかった。感謝である。

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Comment

  1. NONO より:

    いや、有用情報ってそこじゃない、と思います。アル中自分の事、アル中と思わないとか。
    オレは最近、呑むとすぐ寝て、量こなせないので、アル中ではありません。

  2. おーい潤太郎 より:

    通りすがりのファンの者です。粉末酒は川島四郎さんが『食べ物心得帖』で取り上げていましたね。川島さんは発明家で、寒天で固めたつまんで食べるお酒、というのを開発して特許を取ったんだけど、昭和56年2月3日の朝日新聞の夕刊で『水に溶かせば……ハイお酒』という記事を読んで、負けた、と思ったらしい。酒をデキストリンというでんぷんの分解物に吸着させ、水分だけを蒸発させるんだって。

  3. たまこ より:

    吾妻ひでおさんが入院してたのは、杏林ではなくて長谷川病院ですよ。

  4. もみじ より:

    通りすがりの読者です。
    私も去年、K大学病院に入院してましたが…
    ご飯美味しくなかったです…
    下のコンビニやらコーヒーショップやらを怒られるの覚悟で頼りました。
    その年のはじめに入院していた杉並のO病院の方がまだ大丈夫でした。
    あくまでも、私は、ですが…

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    • 橋本幸士先生の『超ひも理論をパパに習ってみた』(講談社)がとても面白かったので、大栗博司著『大栗先生の超弦理論入門』(講談社ブルーバックス)にも手を出してみた。『超ひも〜』も大半がわからなかったが、こちらはほとんどわかなかった。だけど無類の面白さ。って、どういうことなんだろう? ReplyRetweetFavorite
    • 今なら宮田さんの小説に適切なアドバイスができますよ。 https://t.co/Ny6Wde0yPM ReplyRetweetFavorite
    • 本書によれば、「自分は普通以下のアホ」であり、「人生は楽しくないもの」と認識することによって断酒が可能になるという。断酒するつもりはないけど、こう考えるのは悪くないかも。 ReplyRetweetFavorite
    • 町田康著「しらふで生きる」(幻冬舎)が面白い!と噂に聞いたので読んでみた。久しぶりの町田節を堪能。30年間大酒を毎日飲み続けた町田さんがなんと断酒したという話だが、なんと酒云々を超えて「幸福論」になっている! ReplyRetweetFavorite
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