*

ギラギラと輝く船戸ワールドの原点

公開日: : 最終更新日:2014/08/27 高野秀行の【非】日常模様

2014.08.15yamaneko
知り合いである大学の先生が仕事の忙しさを「まるで障害物競走のよう」とたとえていたが、
私もまさにそのとおり。
しかも走っている部分がいくらもなく、障害物をぴょんぴょん跳んでばかり、ときにはひっかかって転倒している。

さて、言い忘れていたが、船戸与一の出世作にして名作『山猫の夏』が小学館文庫から再文庫化(もしかしたら再々文庫化?)され、私が解説をおおせつかった。

20年ぶりに読んだ本書は、冒頭からびっくりするほどの熱量で、ブラジルの焼け付くような大地に
身も心もひきずりこまれてような気がした。
ギラギラと輝く船戸ワールドの原点といってもいい。
こんな文章を書ける若い作家はいないだろうし、今後も出てこないのではないか。

ぜひ渾身の船戸ワールドを堪能し、そのあとで私の解説を食後酒として(?)味わっていただければと思います。

関連記事

no image

顔写真なしでよかった

『西南シルクロードは密林に消える』(講談社文庫)の 全作業が終了した。 今回、講談社文庫に初めて入る

記事を読む

no image

友だちは反政府ゲリラだけ…

チェンマイにいる。 4年ぶりだが、驚くほど街が変わった。 見知っている建物がない。 だから自分がどこ

記事を読む

no image

エンタメノンフ居酒屋合宿

エンタメノンフ文藝部、第2回の部活は千葉合宿。 豚を飼うため、エエ市(仮名)に期間限定で移住したウ

記事を読む

英国人の見たSMAP

内澤旬子さんと「日本の食」について話してほしいという依頼があり、 「そんなもん、俺に語れるのか

記事を読む

no image

多忙につき

多忙である。 おそらく一般の人からすれば「まあ、ふつう」くらいだと思うが、 私のレベルでは「超多忙

記事を読む

no image

電話で追及される

ルワンダ人の友人、カレラから電話がかかってきた。 以前、私が環境NGOを手伝っていたとき、ルワンダの

記事を読む

no image

Mじゃない

みんな勘違いするのだが、間寛平など日本人が毎年出場しているウルトラマラソンと私の出たマラソンは別物だ

記事を読む

no image

小説家になるのは大変だ!

土曜日、モスク取材とその後の予定について打ち合わせをしていたら、 ホテルの部屋に戻ったのはもう12

記事を読む

no image

世界陰謀の真実はビニール傘にあるのか

某出版社で編集をしている探検部の後輩・杉山の紹介で、丸山ゴンザレスという異端作家と新宿の客家

記事を読む

no image

切羽詰まったら本人伝説

 竹島問題と尖閣問題が勃発して以来、毎日が憂鬱でならない。特に尖閣は、もういつ軍事衝突になっても

記事を読む

Comment

  1. mya より:

    記事と関係ないコメントを失礼致します。
    読んでいるブログで高野さんの本が一斉にレビューされていて、なかなか面白かったです。
    http://arabic.kharuuf.net/archives/1532
    最近高野さんのことを知ったらしいですが、凄い勢いで全制覇しようとしています。
    このブログの人も結構変な人です。

  2. 案山子 より:

    高野さんありがとうございます。
    私はずーっと船戸与一先生のファンできた者ですが、不思議だったんてすね。
    あんだけ血飛沫と、情念が弾け飛ぶ世界を描きながら、あの方の書く小説がいつも透明感を漂わせていることに。高野さんの柳生一族を読んで、先生の大人ぶりは解ったが、ますます混乱しました。
    この度、徹夜で一気の再読後に、山猫の後書きを読んで、納得しました。凄くリアルに。
    になみに大したこっちゃねえ…懐かしい。
    昔、不夜城の馳さんがバーテンするバーで、早稲田の学生が船戸先生の作品を盗作だと言ったことあります。
    書いた短篇が、豊浦志郎のルポの盗作だと。
    奥で飲んでいた先生が、相手にしのいで、「大したことじょねえさ」と。
    ファンの私は問題の本と短篇を調べ、尊敬してた先生が盗作したと幻滅しました。
    後で調べたら、豊浦氏は先生のペンネームの一つでした。
    ガキを、の言うことにいちいち動じる気がなかったのでしょうが、
    高野さん含め、モノを作る方は、自己顕示欲強いと思うのです。
    若造に盗作などと言われたら怒るでしょう?
    あの晩を思いだしました。でも、ひょっとしたら照れていたのかな?とも思います。
    山猫は船戸先生自身の投影な気がしました。
    明るいニヒリストとして。

案山子 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年8月
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
PAGE TOP ↑