本格エンタメノンフの傑作
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
平松剛『磯崎新の「都庁」』を読了。
著者については恥ずかしながら全く知らなかったが、2001年に同じく建築家の安藤忠雄を主人公にした
作品で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している人だった。
この作品、めちゃくちゃ面白い。
なにより、本格ノンフィクションでありながら、えらく柔らかく、
誰にでもわかるように、面白い物語であることを第一義に書かれている。
磯崎新を「磯崎親分」、スタッフを「そのとき子分は…」なんて書いているのだ。
楽しくてしかたない。
そう、これはエンタメノンフの手法で書かれた本格ノンフだ。
今までになかったノンフィクションの形でありつつ、
今までになかったのが不思議なくらい自然な文体で綴られている。
突出したものはこうして登場するのだなあ。
って言っても、私が知らなかっただけで、7年前にはもう登場していたのだが。
関連記事
-
-
チャリ仲間が芸術祭大賞をプロデュース
私の友人で、昨年九州を一緒に自転車で走ったワンマン社長(社員が自分ひとりしかいないという意味だが)
-
-
サッカーファン強化合宿
高橋源一郎の小説『「悪」と戦う』(河出書房新社)を読む。 文学が成り立つ前提をとっぱらうというタカ
-
-
怪物は江川と鶴田だけ
松井優史『真実の一球 怪物・江川卓はなぜ史上最高と呼ばれるのか』(竹書房)という本を書店の店頭でぱ
-
-
なかなか出発できない件について
悪戦苦闘の挙げ句、『移民の宴』は無事校了。予定通り11月15日に発売される。 旅の準備も今よう
-
-
西原理恵子『できるかな クアトロ』
私が「解説」を書いた西原理恵子の『できるかな クアトロ』(角川文庫)が届く。 漫画部分は例によって
-
-
ソマリランドで発見した素敵なドリンク
人と喋っているときはいいのだが、一人になると、波のように佐藤先輩のことが押し寄せてきて、 いろんな
- PREV :
- 月刊プレイボーイ休刊
- NEXT :
- 印度放浪