*

読んではいけない

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


仕事をしなければいけないのに
イエス小池『漫画家アシスタント物語』(マガジン・マガジン)
なんて奇書に手を出してしまった。
ジョージ秋山プロの52歳のスタッフがつづる
「自分はいかにして漫画家になれなかったのか」という血のにじむようにイタイ記録。
これを読んでいると、漫画家になることが宝くじ一等を三回連続で当てるくらい
至難の技に思えてくる。
一般読者に面白いと言われる作品を描くことが宇宙にロケットを飛ばすほどの
大事業にみえる。
漫画家も作家も結局は似たような商売だから
他人事とは思えず読みすすめるうちに
自分がこうして作家面して生活しているのがウソのような気がして
ますます仕事が手につかなくなった。
いまプロでやっている私もこうなのだから、
これから本気で漫画家や作家を目指す人は決して読んではいけない。

関連記事

no image

また未知動物

磯崎憲一郎の第二弾、『世紀の発見』(河出書房新社)。 帯の惹句によれば 「ガルシア=マルケス『百年

記事を読む

no image

2010年小説ベストテン

恒例(だったっけ?)の年間枚ベストテンを発表したい。 私が今年読んだ本だから、出版年はバラバラだ。

記事を読む

no image

泣けるような話

今週、出演するJ=WAVEの番組の打合せで、 構成作家の人に「何か外国でちょっと泣けるようないい話は

記事を読む

no image

猛暑の高校講演会

 集英社の外郭団体(?)が主催している「高校生のための文化講演会」というものによばれ、香川県と愛媛県

記事を読む

no image

骨と沈黙

年に一度のお楽しみ、本の雑誌増刊の「おすすめ文庫王国2009」で 佐藤多佳子が自分の文庫オールタ

記事を読む

no image

『「本の雑誌」炎の営業日誌』は「脳内三国志」だ!!

土曜日の夕方、昼寝をしていたら、杉江由次『「本の雑誌」炎の営業日誌』(無明舎出版)が届いた。 これは

記事を読む

no image

Let’s go パラグアイ!

残念ながら日本はパラグアイにPKで敗れてしまった。 さぞ落胆している人が多いだろうが、そんな人たちに

記事を読む

no image

まるでカフカの「審判」

  「オシムの言葉」(集英社文庫)などユーゴ・サッカー三部作で知られる木村元彦氏から 「争うは本意

記事を読む

ときに意味もなく文庫解説一覧

別に意味はないが、書いていた原稿が一段落したので、こんなものを作ってみた。 まず拙著の文庫解説

記事を読む

no image

シャングリ・ラは実在した!

探検部の後輩・角幡唯介の開高健ノンフィクション賞受賞作品 『空白の五マイル』(集英社から刊行予定)の

記事を読む

Comment

  1. ウーマン18 より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 SO702i(c100;TB;W24H12)
    なんだか気が遠くなりそうですね。というか、なりました。小説の書き方が分からなくて困ってる私には、ジュウロクモンキックなんて恐ろしいものを30回くらった感じです……名前しか知りませんが、未知の恐ろしさということで。

ウーマン18 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年11月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
PAGE TOP ↑