だから「吸うな」「飲むな」
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

金曜日、アメリカで日本の小説やノンフィクションを翻訳出版しているバーティカルという出版社に売り込みに行く。
私はかつて『アヘン王国潜入記』を”Tha Shore beyond Good and Evil”と題した英語版をつくり(知り合いのアメリカ人に訳してもらった)、出版したことがあるが、
さまざまなアクシデントが重なってうまくいかなかった。
再挑戦できないものかと、アヘン王国の日本語原本と英語版をもって出かけたのだ。
ところが新宿駅構内で二人の警官に呼び止められた。
「その帽子がちょっとですね…」
私の帽子はマリファナの葉っぱの絵が描いてある。
そして警察は現在「麻薬」の厳重取締期間らしい。
「ここに『吸うな』『飲むな』って書いてあるでしょ?」と説明すると
「あー、じゃあ、われわれと同じ側なんですね」と警官。
にこにこ微笑みながら、もう一人が私のデイパックを開けて中をごそごそ調べる。
えー、何でこういうことになるのだ!
だって今日に限って『アヘン王国』(しかも日本語と英語を両方)持っているんだから。
十数年前の話だし、今さら逮捕されるとも思えないが、大麻印の帽子をかぶっているアヘン本の著者というのは状況的によろしくない。
特に現場の人間というのは自分で物事を判断できないから微妙な問題は上にあげる。
上の人間も下から上がってくると対処せざるをえず、さらに上にあげるというのが容易に想像された。
つまりは警察署にしょっぴかれて、そうとうに面倒なことになるのは間違いない。
今日は売り込みのあと、ジュンク堂でトークショーがある。
幸い、私は本を8冊くらい入れていたので、いちいちタイトルまで見なかった。
(というか、本をどっさり見つけた時点で警官はやる気を失っていた)
あやうくトークショーで「高野さんは今、警察に拘束されてまして…」と説明されるところで、ひやりとした。
私はいまアルコール命。酒以外のドラッグには関心がない。
あらためてそう強調しておきたい。
関連記事
-
-
ファミコンって何だろう?
土曜日にアキバ系中国人のカリスマこと「魚干」君に会った。 まだ22歳、日本に来て半年なのに日本語は流
-
-
「幻獣ムベンベ 早稲田大学探検部コンゴ行」
7月12日発売のヤングチャンピオン誌で、いよいよマンガ版「ムベンベ」が始まる。 正式なタイトルは「
-
-
タンデム三輪車「トライデム」
拙著『異国トーキョー物語』の最終章に「盲目のスーダン人留学生・マフディ」という男が出てくる。 本名は
-
-
切羽詰まったら本人伝説
竹島問題と尖閣問題が勃発して以来、毎日が憂鬱でならない。特に尖閣は、もういつ軍事衝突になっても
-
-
最近であった美味いもの・その1と2
最近、出会った美味いものを思いつきで並べてみたい。 その1、福井県の銘酒「花垣」、しかも純
-
-
新キャラ・パープル旬子の『捨てる女』登場!
あと二時間ほどで家を出る。旅の準備はだいたい終わったと思ったら、大事なことがまだだった。 内
-
-
エンタメ・ノンフ的映画の真髄
「パパは出張中」と「アンダーグラウンド」で史上唯一カンヌを2回制した映画監督エミール・クストリッツァ


