*

あの素晴らしい旅行記をもう一度

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


なんとなく小島剛一著『トルコのもう一つの顔』(中公新書)を再読したが、
あらためて素晴らしい本だ。
フランス在住の、完全フリーランスの言語学者が
金にも名誉にも学歴にもならないトルコの少数民族地帯での調査旅行をつづける。
宮本常一に近いが、パトロンが全然いないから
それよりもっと上かもしれない。
トルコの警察に捕まり、食事も与えられず監禁されていたとき、
少数民族の人たちが歌をうたって小島さんに外から話しかけ、
食べ物を窓から(たぶん)投げ入れてくれるところなど、現代の話とは思えないほど美しい。
これまで日本人が書いた旅行記の中でも屈指だろう。
地名や民族・言語名が細かくて、トルコか言語学か民族学のいずれかに興味がない人には
読みづらいと思い、本の雑誌では紹介していないが、
ここにはもう一度、強くお勧めしておきます。

関連記事

no image

東武東上線では東武動物公園には行けない!?

「アスクル」はAmazon.comで発売直後から長らく、「3〜6週間待て」と書かれていたが、 ようや

記事を読む

no image

マンガ「ムベンベ」と単行本「しわゆめ」

 秋田書店へ行き、同社「ヤングチャンピオン」誌で、7月から連載開始の漫画「ムベンベ」の第一話・生原稿

記事を読む

no image

やむを得ず朝型にシフトしたが…

2週間くらい前から、ワケあって朝は7時に起きなければならなくなった。 日本では海外に出かけるときか取

記事を読む

no image

コーカンとワ

言い忘れていたが、今月29日に行われるウチザワさんの豚を食う「飼い喰い」イベント、 予約がもういっぱ

記事を読む

no image

サッカーファン強化合宿

高橋源一郎の小説『「悪」と戦う』(河出書房新社)を読む。 文学が成り立つ前提をとっぱらうというタカ

記事を読む

no image

加点法の傑作「ジェノサイド」

ソマリ旅行中、なにしろ一人だけで話し相手もいないから、 iPhoneでツイッターをよく見ていた。

記事を読む

no image

ポルターガイストで訴える

「未確認思考物隊」の第5回と第6回のテーマは「心霊」だが、 おかげさまで両方とも私のリポート出動はな

記事を読む

no image

パキスタンの辺境

週刊プレイボーイのインタビューで集英社の会議室に行ったら 探検部で3年先輩のTさんがふらっと現れた。

記事を読む

no image

飲酒天国ブータン

妻がブータンより帰国した。 話によればブータン人はとにかく酒が好きらしい。 人口たった60万人(一説

記事を読む

no image

日本人はサッカーをビルマ人から学んだ

二週間前くらいだろうか、電車に乗っていたら突然、啓示が下りた。 「スローに生きよ」 そういう声が聞こ

記事を読む

Comment

  1. ほうきだこ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows 98)
    読みました。読んだのは大分前になりますが、印象に残っている箇所がたくさんあります。他の人の言ったことの「まごびき」や「知識の使いまわし」みたいなことが全然なくて、全部自分で経験して考えて書かれているので、よく印象に残っているのだろうと思います。著者の方の他の著作物もあれば読んでみたいと思ったのですが、ないみたいですね・・・ひょっとしたら他言語での著作物は残していらっしゃるのでしょうか。

  2. 歌川 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; GTB5; .NET CLR 1.1.4322)
    高野さんの著書から未知の国のいろいろな面が気になり、少しずつ調べたりしていたら救われたことがあったのでこちらも読み始めました。
    この本にも断食について書かれており、「あー自分は断食中ってことにしよう」と気持ちが軽くなりました。
    というのも、理由は分からないのですが本能的に肉が嫌いなのです。
    食べれないと「えー!」とかなり引かれて何だかガックリ、、、を、都合よく思考を変えれてありがたい。
    確かに私には難しい本ですが、柔らかい雰囲気の文と、会話が何とも優しいです。

  3. 小島剛一 より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; fr; rv:1.9.0.6) Gecko/2009011913 Firefox/3.0.6
    「ラズ語文法書・草稿」 http://lazepesi.dosti.free.fr と http://ayla7.free.fr/laz/grammaire.html
    「ラズ語トルコ語辞典・草稿」http://ayla7.free.fr/laz/index.html
    「フランス語を母言語とする人のための和仏辞典・草稿」http://ayla7.free.fr/japonais」
    難しい・・・と言われてしまいそうなサイトばかりですが、よろしく。

  4. アサポン より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    おー 小島剛一氏ご本人のコメント!
    私も『トルコのもう一つの顔』とてもおもしろく読ませて頂きました
    小島剛一×高野秀行の対談なんて実現しないかな、
    読んでみたいです!!

歌川 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年11月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
PAGE TOP ↑