災害対策マニュアル(1)「ヘッドライト」
公開日:
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
高野秀行の災害対策マニュアル(1)「ヘッドライト」
昨年、新潟中越地震が起きたあと、私はいつになく真剣に災害時に備えようといくつか準備をした。
しかし、途中までやったところで飽きてしまい、放置しておいたのだが、忘れきらないうちに今回はスマトラ大地震とインド洋大津波である。
あらためて、私の辺境体験をフルに活用し、災害対策を真剣に考えることにした。
はばかりながら、それをみなさんにもお伝えしたい。
まず、第1回はヘッドライト。
大地震が起きた際、電気、水、ガス、電話といった、いわゆる「ライフライン」が断たれる可能性が高い。
どれも重要だが、夜、突然、でかい地震に見舞われ、停電になるというのは最高に恐ろしい。
当然、ライトの準備は欠かせない。どの災害対策マニュアルを見ても、いやそんなマニュアルを見なくても、誰もが昔から知っていることだ。
ところが、不思議なことにどんなマニュアルにも「懐中電灯」としか書かれていない。東京消防庁のマニュアルですらそうだ。ご丁寧に手で持ってピカッと照らす懐中電灯の絵まで描いてある。
しかし、これは困る。
ふつうの懐中電灯では片手がふさがってしまうのだ。
倒れてきたものをどける。自分や家族の傷を調べる。飯をつくる。両手に荷物を持って避難する。ケガをした家族や友人を抱いたり、担いだりする。赤ちゃんや寝たきりのお年寄りをケアする…。
そういったことは、みな両手が使えないとできない。
私は電気のない村や停電した町で長いこと暮らしたことがあるから、そういうことが手にとるように想像できる。
実際、ミャンマーやアフリカなどの電気がないところでは、現地の人も懐中電灯が頼りだ。しかし、みなさん、両手が空かないことで本当に苦労していた。
太い懐中電灯を口でくわえる者もいた。
そして、私が頭につけているヘッドライトを羨んだ。
「それ、貸してくれ」とか「日本に帰るときはそれを俺にくれ」とか、それはものすごい人気であった。
そうなのだ。災害対策マニュアルは、懐中電灯ではなく、「ヘッドライト」と明記すべきだ。
ヘッドライトは別に高いものではない。登山用品店はもちろん、大型ディスカウントショップのアウトドア・コーナーで、1000円くらいで売っている。
ちなみに、その手のマニュアルにはよくずいぶんと大きな懐中電灯が描かれているが、私の経験では光の強さはあまり問題ではない。
小さな豆電球のライト一つで、深夜の密林も問題なく歩ける。
かえって大きい電灯は移動の際に荷物になる。
そういう意味でもやはり絶対にヘッドライトがおすすめ、というか必需品である。
※もし、何かご意見やご質問などあれば、ぜひお願いします。
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Comment
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ご無沙汰してます。OΛS/SのYoshiです。
「災害対策マニュアル」、満を持してっていう感じですね。これまで「準備しなきゃなー」とか思ってましたが、なかなか腰をあげずじまいでした。でも、こう災害が多いと真剣に考えざるをえませんね。
実地体験のお立場からの、「あー、そうかー」ってな目からウロコ話、楽しみにしとります。お役所の型どおりマニュアルではなく、実用的な「生きたマニュアル」を期待しておりますです。
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ヘッドライトの電球は、LED、発光ダイオードのものに交換しておくことをおすすめします。電球だけで2000円ほどしますが、明るさはもちろん、電池のもちが100倍は違います。いざというときに電池が切れてたら、どーしよーもないですからね。そなえよつねに!
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え、電池のもちが100倍ちがう?!
発光ダイオードってそんなにすごいんですか。
いい勉強になりました。