*

生物「超」多様性問題

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

探検部の後輩で今、テレビのディレクターをやっている男が生物多様性問題について取材をしているというので、
『放っておいても明日は来る』(通称アスクル)のトップバッターとして登場いただいた、
生物資源探索会社経営の二村さんを紹介し、一緒にレクチャーを受ける。
今現在、ほとんどの日本人はまだ知らないと思うが、実は世界的にはこの生物多様性問題は
地球温暖化(CO2削減)の次に重要な環境トピックとしてすでにメジャーになっているという。
生物多様性問題は複雑なのだが、一言で言えば、「生態系の保全と開発のルール」であり、
大雑把には、
1)動植物から土壌や菌類まで含めた生態系(生物多様性)を「生物資源」として保全すべきである
2)生態系(生物資源)から食品や医薬品などを作る場合、生態系の所有国(おうおうにして発展途上国)へ利益還元をすべきである
ということだとわかった。
自然保護のうち、南北問題とバイオテクノロジーがセットになって現れた至って現代的な問題である。
二村さんはこの生物多様性問題の、日本における最前線を突っ走っているらしい。
実は今まで「マレーシアのジャングルから薬をつくっているらしい」という超漠然とした理解しかなくて、そんなに環境問題の先端にいたとは知らなかった。
でもなぜか昨年の秋から私は彼の会社ニムラ・ジェネティック・ソリューション(NGS)で
正式に「顧問」を務めており(名刺ももっている)、
今度も「ブータンの辺境地で生物資源探索の調査をしてほしい」という依頼を受けたのだ。
実際に今回の旅の道連れは、ブータンの国立生物多様性センター所属の研究者になるらしい。
そしてこのブータン政府公式活動で、私は現地の少数民族の伝統的知識とともに、イエティ(雪男)の生態を調べることにした。
生物「超」多様性問題なのである。

関連記事

no image

謎の国際ボランティア特殊部隊@浦安

後輩Kとネパール人のクマルという国際統合失調症コンビを引き連れ、 浦安市の被災地へボランティアに行っ

記事を読む

no image

読んではいけない

仕事をしなければいけないのに イエス小池『漫画家アシスタント物語』(マガジン・マガジン) なんて奇

記事を読む

no image

小説の強烈な引き

麻雀やカードゲームと同じように、読書も「引き」が強いときと弱いときがある。 引きが強いときには、て

記事を読む

no image

『メモリークエスト』本日発売

まずはお知らせ。 『メモリークエスト』(幻冬舎文庫)、いよいよ本日発売です。 アマゾンや地方では明

記事を読む

no image

「アンダーグラウンド」は私の理想

下高井戸シネマで、エミール・クストリッツァ監督の超名作「アンダーグラウンド」を観る。 この映画を観

記事を読む

no image

就職するならNACK5

昨日(木曜日)、さいたま市を本拠地とするFM局NACK5の番組「セイタロウとケイザブロウのおとこラジ

記事を読む

no image

モガディショで宮田珠己

ソマリランド&ソマリアでは、いろいろな理由で暇な時間がひじょうに長かった。 とくにソマリアの首都モガ

記事を読む

no image

芥川賞受賞の衝撃作

あまりに評判がいいので、磯崎憲一郎『終の住処』(新潮社)を読んでみたら、 衝撃を受けた。 こ、これ

記事を読む

no image

立松和平とドンガラ

立松和平氏が亡くなったというニュースを見て驚いている。 というのは、一昨日、たいへん久しぶりにその

記事を読む

no image

楽しい南米

ペルーのマリオ・バルガス=リョサがノーベル文学賞を受賞した。 私が親しみ、著作を何冊も読んでいる作

記事を読む

Comment

  1. DON より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10_5_8; en-us) AppleWebKit/531.21.8 (KHTML, like Gecko) Version/4.0.4 Safari/531.21.10
    結局イエティ!!ぶわっははは。
    期待してます。マジで。

  2. アジケト より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; GTB6.3; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    DONさま 真っ当な企業経営者としてはこの反応↑を一番恐れています(笑)。しかし普通の反応なのかも…
    ただ高野さんに入っていただく保護区は世界で唯一未確認動物を
    保護する目的で作られたと言われており、政府の観光評議会の公式
    ページにも記載されています。
    http://www.tourism.gov.bt/about-bhutan/national-parks
    だから本当にいるんです!というわけではありませんが、
    Yetiを保護しようと感じさせるほどの生態系を高野さんに十分感じてもらい、
    皆さんに伝えていただくということに大きな意義の一つがあると思っています。
    と私が言っても説得力ないんでしょうね…ああ、「アスクル」が。
    でもみつかったらすごいですよね。
    DONさん、期待していてください。

  3. NONO より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB5)
    ブータン、面白そうですね。
    イエティにも夜這いをかけましょう。
    2月在日でないのは残念ですが、7月よろしく。
    報告楽しみにしてますよ。

  4. しん より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.1.7) Gecko/20091221 Firefox/3.5.7
    アジケトさんが紹介してくれたサイトを見てみました。
    今回、「Sakteng Wildlife Sanctuary」というエリアに行かれるんですかね。
    翻訳サイトで翻訳して読みましたが、サイトに記載された
    記事を読むだけでもYetiがいそうな説得力は感じました。
    まあ、UMAに関しても生態系うんぬんに関しても素人目線ですが。

  5. DON より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10_5_8; en-us) AppleWebKit/531.21.8 (KHTML, like Gecko) Version/4.0.4 Safari/531.21.10
    すみません、高野さんのこの文章で、
    流れでイエティが出てくると思わず、
    つい爆笑してしまったのです。
    言葉が足りなくて申し訳ありません。
    その調査の足跡だけでも、なにか見つかったらさらに
    本になることをおおいに期待しています。

  6. LP より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.1.7) Gecko/20091221 Firefox/3.5.7 (.NET CLR 3.5.30729)
    そういえば、この冬ネパールに旅行に行ったときに、国内線でYeti Airlineというのを使いました。チャーミングな名前だなと思いましたが、割りと評番も良いようでした。
    JALもこの際、河童航空に社名を変えればいいのに。

  7. アジケト より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; GTB6.3; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    DONさん こちらこそクレームつけているみたいでごめんなさい。
    高野秀行本の魅力の一つはシリアスな内容で爆笑できることだと
    思っていますので、ここでは大いに爆笑してください。
    えー、心配なのは当社が会社として公式発表した時に同じような
    反応があることです(笑)。>何が違うの?と言われると困りますが…
    http://www.ngs-lab.com
    なにせ本人同様まじめを売りにしている会社ですので。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年7月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑