大人の遠足・国内篇
公開日:
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
こんな時期に国会に行ってきた。
正確には衆院議員会館。
「日本西サハラ友好議員連盟」設立総会というのに参加したのだ。
というと、なんだか凄そうだが、実は
「人が集まらなかったらかっこうがつかないから、来てほしい」と言われ、
竹村先輩、宮澤という西サハラの大人の遠足組が出動した。
要するに「枯れ木も山の賑わい」役だ。
その話を聞いたとき、「どんな格好で行けばいいんですかね?」
と先輩に訊ねたら
「うーん、襟付きのシャツがいいだろうね。あと、サンダルはよしたほうがいいかもね」
と先輩はアドバイスしてくれた。
襟付きのシャツを全く持ってなかったので、前日にユニクロにいって
買った。
で、昨日、議員会館の受付で待ち合わせた先輩に「俺、襟付きのシャツがないから
これを昨日ユニクロで買ったんですよ』と報告したら、
「おー、えらいねえ」と褒められた。
ちなみに私は44歳、先輩は47歳である。
続いて、宮澤君も登場。彼も白いシャツに紺のズボン、黒い革靴という見たこともないようなフォーマルな格好だが、私同様、いつも着慣れていないのが見え見えで、
なんだか「お父さんから服を借りてきた」みたいだ。
西サハラ友好議員連盟の会議には民主党の議員が10名ほど、あとは西サハラを支援するアルジェリア大使も来ていた。
私たちはなにしろ「枯れ木」役なので、壁際で目立たないように座っていた。
「これから(党執行部を決める)両院議員総会があるので時間は40分だけ」ということで、
参加者は全員、ひじょうな早口でしゃべり、会長に生方幸夫氏が選出され、
西サハラ問題のポイントがてきぱきと説明された。
議員の方々には疲れて眠そうな人もいたが、
居眠りをする暇もないくらいの速さである。
ふだんの会議やミーティングもこれだけ速いと世の中はさぞ快適になるだろう。
あっという間に終わると、先生方は両院議員総会に向けて、議員会館の玄関口から
黒塗りの車でゴンゴン出かけていく。
ぼさっと突っ立っているのもなんなので、先生以外の方にご挨拶しようかと思ったが、
名刺を一枚も持ってないことに気づき、
遠慮することにした。
みなさんを見送ると、われわれの枯れ木仕事も終了。
「高野、これからどうする?」
「そうですね、まだ飲むのは早いですしね…」
ぼんやりと国会議事堂の巨大な伽藍を眺めながら、
赤坂見附のほうへぶらぶらと下っていく午後四時なのであった。
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