「花より男子」
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
高校講演会ではいつもいろいろ面白いことがあるが、
今回いちばん驚かされたのは同行している集英社の担当編集者のEさん。
ふつう、編集者は私が話す前に「講師紹介」で講師である私の説明を簡単にするのだが、
Eさんは自分の経験を話しはじめた。
それによれば、彼は中学2年のとき、「何か変わったことをやろう」と思い立ち、
「一年間に学級新聞を100号出そう」と決意した。
夏休みや冬休みを除いたら、二日に一回くらいのペースで出さねばならない。
そこで他の同級生に頼んで、詩や写真、小説などを書いてもらった。
漫画を描くのが得意な女の子には漫画を描いてもらった。
編集者の仕事そのものだ。
そうしてなんとか一年で100号出すことに成功した。
それから十年後、Eさんは集英社の編集者になった。
そしてその頃漫画を描いてくれた女の子はプロの漫画家になった。
大ヒット作「花より男子」の神尾葉子さんがそうだという。
えーっ!?とびっくりしてしまった。
生徒たちも顔を見合わせている。
「子供のときに出会ったことは大人になってからも何かしらつながっていくんです。だから
みなさんも高野さんの話をよくきいてください」
とEさんは結ぶのだが、そんなことより神尾さんの話をもっとききたいと生徒たちは思ったろう。少なくとも私はそう思った。
やっぱり、中学時代、二日おきくらいに漫画を連載したことで、
ものすごく実力が鍛えられたとか、自分で書きたいということと読者が読みたいということの違いに気づいたとか。
あと、私はそれまでずっと「花よりダンシ」だと思っていたが、「花よりダンゴ」だということもわかった。長年の思い込みが訂正され、二重にありがたいことだった。
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最近またウモッカの本読んでいます。UMAのサイトもあまり更新してないです、、。
また、是非続編お願い致します。
今週代々木公園でナマステ祭あります。
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先日はありがとうございました。
私も「花より男子」とEさんが同級生と聞いた時は、
びっくりしましたΣ(´∀`;)
また、愛媛にお寄りの際は声をおかけください!