*

混沌とするタイのお化けワールド

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

ついに『謎の独立国家ソマリランド』の見本があがってきた!
パネルも本の装丁もむちゃくちゃかっこいい!

…と感激で、今すぐ神保町の本の雑誌社に駆けつけ、
杉江さんと本文レイアウトのカネコッチと祝杯をあげたいところなのだが、
私はなぜかバンコクにいる。

しかも、タイのお化けについて訊いて歩いているという間抜けさだ。

今夜も「タイの荒俣宏」と勝手に私が呼ぶお化け評論家のレストラン「ザ・ショック」という店に行き、
「カオ・パッ・ピー(心霊チャーハン)」を食べようかと思っているところ。

リアル北斗の拳ソマリアとはあまりに落差が激しい。
機関銃を持った民兵も妖怪に見えてくる。

タイのお化けワールドは混沌としている。
心霊と妖怪のはっきりした区別もないし、タイ人はものすごくお化けを怖がるいっぽう、
コメディのお化け映画も数多くあり、みんなで爆笑しているし、
かと思えば、地方の村では妖怪を警察が捕獲しようとしているニュースも流れる。

あまりに混沌として、なんだかわからない。
それに妖怪国家ソマリアが重なり、私の頭はさらに混迷を深めている。

ああ、いったい何をやってるんだろう……。

関連記事

no image

ノビシロマン

水泳に行くと、仲間というか先輩の方々から「高野さんはいいね、ノビシロがいっぱいあるね」と言われる。

記事を読む

no image

歴史は水で割るべからず

ゲストハウスのそばのソイ(路地)で、カバーにムエタイのポスターをびっしり貼った屋台を見かけた。

記事を読む

no image

離島に電子書籍を!

最近は中東・アフリカのイスラム圏に行き、取材して原稿を書くことが多い。 そういうとき、ネットは便利だ

記事を読む

no image

あのUMAサイトが本に!

私がウモッカを知った伝説のウェブサイト「謎の未確認生物UMA」がムックとして登場。 管理人「さくだい

記事を読む

no image

寿司と酒

久しぶりにスーダンの盲人留学生アブディンと会い、 珍しくイスラムの話など真面目な話をしたが、そのあと

記事を読む

no image

「同志」タマキンさんに会う!

宮田珠己ことタマキング(逆か)と会う。 タマキンさんの『52%調子のいい旅』が幻冬舎文庫から出ること

記事を読む

no image

アジア新聞屋台村プレイバック

 昨日、突然5年ぶりにエイジアン新聞社の劉社長から電話がかかってきた。 「急ぎの仕事があるからやって

記事を読む

no image

ツアンポー峡谷の謎

最近は気温こそ相変わらず高いが、湿度が低いせいか 外にいても日陰なら涼しい。 今日はなぜかJR高尾

記事を読む

no image

今さらだが…

角田光代『八日目の蝉』(中央公論新社)を読む。 今まで読んだ角田作品の中で(そんなにたくさん読んでな

記事を読む

no image

知らぬが大福

先週の火曜日、本の雑誌の杉江さんがうちに来て打ち合わせ。 妻が不在なので心おきなく杉江さんと談笑、特

記事を読む

Comment

  1. 義理の弟 より:

    もっと分からないのは、仏教では死んだら霊になるという教えは無く、妖怪も存在しないことになっているのに「出る」と皆さん喜ぶところです。
    ただ、皿が割れたら「ピーがいたずらした」で済ますことも出来るということは、霊とか妖怪は社会の潤滑油なのかもしれません。

  2. アハマド より:

    多分もう読まれているかと思いますが、念のため参考図書を挙げておきます。

    怪奇映画天国アジア 四方田犬彦著 白水社

    分量としてはタイが最も多いです。映画の分析がほとんどですが、妖怪/オバケの側から見た東南アジア社会論の趣きもあります。

  3. 高野 秀行 より:

    >義理の弟さん、

    今回聞いたところでは、タイでは本来の寿命に至る前に事故や殺人など不慮の事故で亡くなった人の霊が行き場を失ってピーになるという説明でしたね。

    妖怪系については不明です。

    >アハマドさん、

    その本は知りませんでした。帰国したら読みます!

    • アハマド より:

      私は四方田さんのファンなので取り上げられている映画を見ていなくてもすらすら読めましたが、事前にタイのホラー映画を何本か見ておいたほうが読みやすいかもしれません。ちなみに私が住んでいるインドネシアでもお化け映画は本当に多いです。

      あと、これはお化けネタではありませんが、先日インドネシアでカートが大量に処分されました。アラブ人観光客が持ち込んだもののようですが、国家麻薬局が中毒性があるとして焼却処分にしたようです。
      http://www.youtube.com/watch?v=cswenf9VTIk&feature=youtube_gdata

      カートをこよなく愛する?高野さんなら泣いて悲しむかもしれないと勝手に想像したので、この場を借りて報告いたします。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年10月
     12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
PAGE TOP ↑