混沌とするタイのお化けワールド
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高野秀行の【非】日常模様
ついに『謎の独立国家ソマリランド』の見本があがってきた!
パネルも本の装丁もむちゃくちゃかっこいい!
…と感激で、今すぐ神保町の本の雑誌社に駆けつけ、
杉江さんと本文レイアウトのカネコッチと祝杯をあげたいところなのだが、
私はなぜかバンコクにいる。
しかも、タイのお化けについて訊いて歩いているという間抜けさだ。
今夜も「タイの荒俣宏」と勝手に私が呼ぶお化け評論家のレストラン「ザ・ショック」という店に行き、
「カオ・パッ・ピー(心霊チャーハン)」を食べようかと思っているところ。
リアル北斗の拳ソマリアとはあまりに落差が激しい。
機関銃を持った民兵も妖怪に見えてくる。
タイのお化けワールドは混沌としている。
心霊と妖怪のはっきりした区別もないし、タイ人はものすごくお化けを怖がるいっぽう、
コメディのお化け映画も数多くあり、みんなで爆笑しているし、
かと思えば、地方の村では妖怪を警察が捕獲しようとしているニュースも流れる。
あまりに混沌として、なんだかわからない。
それに妖怪国家ソマリアが重なり、私の頭はさらに混迷を深めている。
ああ、いったい何をやってるんだろう……。
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Comment
もっと分からないのは、仏教では死んだら霊になるという教えは無く、妖怪も存在しないことになっているのに「出る」と皆さん喜ぶところです。
ただ、皿が割れたら「ピーがいたずらした」で済ますことも出来るということは、霊とか妖怪は社会の潤滑油なのかもしれません。
多分もう読まれているかと思いますが、念のため参考図書を挙げておきます。
怪奇映画天国アジア 四方田犬彦著 白水社
分量としてはタイが最も多いです。映画の分析がほとんどですが、妖怪/オバケの側から見た東南アジア社会論の趣きもあります。
>義理の弟さん、
今回聞いたところでは、タイでは本来の寿命に至る前に事故や殺人など不慮の事故で亡くなった人の霊が行き場を失ってピーになるという説明でしたね。
妖怪系については不明です。
>アハマドさん、
その本は知りませんでした。帰国したら読みます!
私は四方田さんのファンなので取り上げられている映画を見ていなくてもすらすら読めましたが、事前にタイのホラー映画を何本か見ておいたほうが読みやすいかもしれません。ちなみに私が住んでいるインドネシアでもお化け映画は本当に多いです。
あと、これはお化けネタではありませんが、先日インドネシアでカートが大量に処分されました。アラブ人観光客が持ち込んだもののようですが、国家麻薬局が中毒性があるとして焼却処分にしたようです。
http://www.youtube.com/watch?v=cswenf9VTIk&feature=youtube_gdata
カートをこよなく愛する?高野さんなら泣いて悲しむかもしれないと勝手に想像したので、この場を借りて報告いたします。