*

イランの料理をみくびっていた

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

日曜日、「おとなの週末」で連載開始する「移民の宴」の第2回取材で、
イラン人のベリーダンサー、ミーナ・サレーさんのスタジオに行く。
ミーナさんが家族ぐるみでおつきあいしている、ミーヌさんという女性にペルシア料理をつくっていただく。
イランは旅行者の間では飯がまずいことで有名で、
(一説には「世界でいちばんまずい」とも言われる)
私が旅したときも実際にまずかった。
だから正直さっぱり期待してなかったのだが、
これがとんでもなく手がこんでいて、めちゃくちゃ美味しかった。
みんな家で食べて外食なんかしないので、そうなるらしい。
いやあ、おみそれしました。
ところで、横浜駅近くにあるイラン食材店テヘランショップの人たちもそうだったが、
イランの人たちは、アラブ人やトルコ人、パキスタン人などと比べると、
繊細かつ物静かで、どちらかというと東欧やポルトガルの人に近い印象を受ける。
日本ではイスラム原理主義の国とか、ヤクの密売ばっかりやってると思われているが、
まったく気の毒なことだ。
     ☆        ☆          ☆
8ヶ月、調査研究のため、スーダンとロンドンに行っていた友人・アブディンが帰国。
ロンドンでは雪で交通が麻痺してたいへんだったろうと言ったら、
「あんなの福井の三分の一も降ってないよ。あいつら、雪に慣れてないから大騒ぎするだけでさ」とのこと。
アブディンは日本に来たら、たまたま福井の盲学校に行くことになり、
豪雪の中でえらく苦労したのだった。
目が見えなくて、雪も見たことがなくて、言葉もわからなくて
いつのまにか道からはずれて田んぼの中に入り込んだりしていて、
「しょっちゅう遭難しかけてた」という。
そんなことも早く書いてほしい。

関連記事

no image

超能力者の支配する世界

貴志祐介のSF巨編『新世界より』(上・下 講談社)を読む。 SFを読んだのは久しぶりだが、面白かっ

記事を読む

no image

ブータンはチベットではない

日本で入手できる唯一のブータン映画ということで、 5000円近くも出して「ザ・カップ 夢のアンテナ

記事を読む

no image

『メモリークエスト』文庫の装丁はすばらしい!

『メモリークエスト』(幻冬舎文庫)の見本が届いた。 単行本のカバーは正直言って気に入らなかったが、

記事を読む

15年前のドンガラさんと私

二十代の頃からずっとお世話になっている翻訳家の浅尾敦則さんからこんな写真が送られてきて仰天した。

記事を読む

no image

魅惑のロシアン・クリスマス

先週末はロシアン・クリスマスを堪能した。 ロシア正教はグレゴリウス暦でなく、もっと古いユリウス暦を使

記事を読む

no image

辛いけどあとで楽しい奥泉山の登山

最近本の感想がとんと書けなかったのは、一つには仕事や雑務で読む時間が少なかったからだが、もう一つの

記事を読む

no image

休みをとって職場へ?

金曜日はジュンク堂書店新宿店にて、宮田珠己部長とトークイベント。 (司会は杉江さん) 例によって宮

記事を読む

no image

「イスラム飲酒紀行」気持ちは早くも第2弾

今月25日に発売予定の新刊『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)の予約受付がアマゾンで始まった。 なぜかわ

記事を読む

no image

深谷陽というアジア風天才漫画家

日本にいる時間が残り少なくなってきたので、 駆け足で紹介。 先日行われたmixiのイベントに、純粋

記事を読む

no image

見上げてごらん

 前に「イスラム飲酒紀行 イラン篇」はSPA!3月24日発売号に掲載と書いたが、 どうも間違いだっ

記事を読む

Comment

  1. ひまじん より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6.6; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729; InfoPath.1; AskTbUT2V5/5.9.1.14019)
     「鷗外、だめじゃん」についてのコメントです。全然ちがうとこに付けちゃってスミマセン。「白い航跡」を読んでいて思い出したので。
     鷗外を、学者同士の争いに目を曇らされて、何万人もの兵士を結果的に死に追いやった人と思えば、同情の余地なしって感じですね。
     でも脚気騒動の鷗外以外の学者を含めて、他の時代の他の問題に関しても、同様のことはもしかしたら何度も何度も繰り返されているのかも知れません。
     日本人って問題解決の手法に、はじめに理屈ありきで臨むという癖があるんじゃないですかねー。「自殺増」問題も、同じ落とし穴に陥っている気がします。自殺の研究をしている人は認知の偏りを正すためにCBTを受けなくちゃといったらブラック過ぎますかねー。
     問題解決の手法について他の文化と比較したら、悲しき熱帯みたいな名著をものすることができるかも知れませんよ。

  2. 高野秀行 より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; en-US) AppleWebKit/534.13 (KHTML, like Gecko) Chrome/9.0.597.107 Safari/534.13
    「自殺増」問題って何でしょう?

  3. ひまじん より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6.6; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729; InfoPath.1; AskTbUT2V5/5.9.1.14019)
     あ、すみません。国民的問題になっていると勝手に思っていたので。
     1997年の1年間に日本で自殺したのが23000人ぐらいだったのが、1998年にいきなり増えて3万人を超えたのです。(その後もあんまり減っていません)
     それで政府だの、社会学者だの?、精神科医療関係者だのが問題だといっている訳です。

  4. 高野秀行 より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; en-US) AppleWebKit/534.16 (KHTML, like Gecko) Chrome/10.0.648.127 Safari/534.16
    ああ、そうだったんですか。
    でも日本の自殺はハンパな数じゃないですね。
    「戦死者」として数えてほしいと思う。

  5. saitaman より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    日露戦争の戦死者とおんなじくらいの数が毎年死んでるらしいですね。
    そしてそれとほぼ同数の、子どもを含めた交通事故の死者も。
    日露戦争の頃は交通事故なんてほとんど無かったでしょうねぇ。伝染病による死者はたくさんいただろうけど。
    人口あたりの自殺率のデータは統計によって若干違いますが1位から10位が、
    リトアニア、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、日本、ガイアナ、ウクライナ、韓国、スリランカ、ハンガリー
    なんだそうです。旧共産圏が多いですが、南米唯一の英語国ガイアナが異色ですね。スリランカはいまだ多い殉死の風習のせいでしょうか。

  6. 練馬の大根足 より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10_5_8; ja-jp) AppleWebKit/533.18.1 (KHTML, like Gecko) Version/5.0.2 Safari/533.18.5
    可哀相だった髙野さん。
    わたしが行ったイランは、どの食事も美味しくって1か月の水下痢で体重激減していた体調をすっかり元に戻しました。
    そのとき一緒だった旅行者もC型肝炎復帰直後でやせていて、ずぼんをたなびかせていた彼も体重を増やしていました。
    わたしたちはレストランでメニューを読めませんでしたが、数字だけはちゃんと理解し、毎回いちばん高いモノを注文していました。なにを注文したのかいつも不明でしたが。

ひまじん へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年12月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑