*

困ってるいぬ

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

今週は月曜から金曜日までかけて原稿が一枚もかけないという絶賛大スランプ中だったのだが、
そういうときにかぎって錦糸町で保護され、牛込警察署に3週間収容されていた大型ネパール犬が助けを求めてきて、面倒をみるはめになった。
野宿中に携帯もカネも全てなくしたとのことで、
一緒に吉祥寺に出かけ、携帯を契約し、着替えの衣類も買い与えた。
午後から夜にかけては、やつの寝る場所と仕事を探すため、
善後策を考えたり、やつの分を含めて飯を作ったり、
烏山のネパール人レストランのオーナーに相談に行ったり。
大型犬はすごくよく寝る。
彼のための作業が一段落すると、彼はがーっと眠りに落ちる。
成犬の睡眠時間は一日20時間とも言われるらしいが、やつもそれに近い。
まあ、向精神薬が効いているのと、安心しているのもあるのだろう。
やつが寝るとやっとこっちは仕事ができる。
それにしても、ビザなし、カネなし、職なし、精神病持ち、酒を飲むと人に噛みつく、ネパール人コミュニティからはじき出され、
大野更紗並みの「エクストリーム困ってるひと」、いや「困ってる犬」である。
昨日の晩から私と妻が説得し、さきほどやっと国に帰ることを決めたようだ。
決めたらまた健やかに寝入ってしまった。
うらやましいが、その間に仕事をしなければならない。
あーあ、アフリカのことなんか考える暇もないよ。

関連記事

no image

ブックストア談 浜松町店

 浜松町の貿易センタービル別館2Fに「ブックストア談 浜松町店」という書店がある。  ミャンマーから

記事を読む

no image

キワモノ作家の王道娯楽ミステリ!?

久しぶりに新規の(自分にとって)小説を楽しんで読んだ。 田中啓文『チュウは忠臣蔵のチュウ』(文春文

記事を読む

no image

超高級リゾートアイランド

インド洋に浮かぶ超高級リゾートアイランド、セイシェルにいる。 あやうく入国審査にひっかかりそうになっ

記事を読む

no image

元気が出てしまう(?)自死の本

いわゆる「野暮用」ってやつで、仕事に専念しているわけでもないのにともかく忙しくて ブログを更新でき

記事を読む

no image

ビンゴ大会で優勝

火曜、水曜と一泊二日で千葉の海辺へ両親と弟一家の総勢9名で出かけた。 一族旅行など初めてのことだっ

記事を読む

no image

佐藤圭作監督『人間椅子』

私の学生時代からの数少ない探検部以外の友人である佐藤圭作が、 今度、商業映画監督としてデビューする

記事を読む

no image

続・「クレイジージャーニー」とすしざんまい

昨日、ブログを書いたあと修正しようとしたけど、私のIT力の限界か、二度とログインできなかった。

記事を読む

no image

新年あけましておめでとうございます

昨年の出版界は、一般社会に輪をかけた未曾有の大不況だったようである。 その影響は直接間接に私のところ

記事を読む

no image

忘年会ゼロで読書

今年の暮れは素晴らしいことに、忘年会ゼロ。 単に友だちが離れて行っているだけかもしれないが、自分の

記事を読む

no image

ロスト・シティZ

最近、突然読書量が増えたのは、仕事のあとや合間でなく、 始まる前に机に向かって本を読むようになった

記事を読む

Comment

  1. おっとっと より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.0) AppleWebKit/534.30 (KHTML, like Gecko) Chrome/12.0.742.112 Safari/534.30
    中国で野人が目撃された、というニュースが出たみたいですよ
    http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=52717
    ↑これが日本語の記事
    http://www.voc.com.cn/article/201107/201107111636301622.html
    ↑こちらが中国語の記事で足跡の写真が載ってます

  2. go より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 N03B(c500;TB;W24H16)
    お疲れさまです。
    その大型のネパール犬さんは、被災地に行ったときの愉快な例の二人組(正確には一人と一匹)の一人(一匹)でしょうか。よく寝て、やんちゃ盛りで可愛い頃でしょうか。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年7月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑