*

海賊国家プントランド

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

今回の旅の目的は謎の独立国家ソマリランドの実情を探ることだが、
そこにいると同じ意見しか聞けない。
というのは、ソマリランド人は、誰もが独立を支持し、
何の疑いも持ってないからだ。
公平を期すためには、ソマリランドに強く反発する人たちにも
話を聞かねば。
そう思って敵対する隣のプントランドに
来た。
ちゃんと出入国の手続きをし、国際線のフライトで
未確認国家から別の未確認国家に来たわけだ。
プントランドはソマリランドにも増して奇々怪々なところだ。
独自の政府を持ち、大統領もいて、外国人はビザを必要とするのに、
「我々は独立国家ではない。あくまでソマリアの一部」と主張している。
だいたい、国でも自治区でも機関産業が海賊業なんてありえない。
そんなプントランドの最大の町、ボサソに到着した。
一見、静かで美しい海辺の町だが、
「絶対に一人ではホテルから一歩足りとも出てはいけない」と
世話役の人に厳しく言われている。
「海賊は海だけじゃない。町にもいる。外国人は
すぐ拉致される」そうだ。
とてもそんなことが起こりそうな町には見えないのだが…。
ショックなのは自由に葉っぱを買い、
地元の人たちと談笑できないこと。
「この町では誰も信用できない」と、
この土地に生まれ育った人が言う。
でも、結果的には、その人と刺しで葉っぱを食い、
いろいろと面白い話が聞けた。
やっぱり現地に来て初めてわかることがたくさんあるのだなと
改めて実感している。

関連記事

no image

水泳大会&妻帰る

先週は虚ろな日々を過ごしていたが、 日曜日は前々から予定されていた巣鴨での水泳大会。 リレーのメンバ

記事を読む

no image

熱燗プロジェクト敗れたり!

先週の金曜日から日曜日にかけて、 南三陸町にまた行ってきた。 今度はボランティアでなく、月刊「おとな

記事を読む

no image

イトコの息子と探検部の後輩

盲目のスーダン人・アブディンの親しい友だちで 外語大のアラビア語学科在籍中にスーダンへ一年間留学した

記事を読む

no image

本当の日本の辺境紀行

 角田光代『八日目の蝉』(中公文庫)はひじょうに面白い小説だったが、正直言って不倫だとか愛人の子をさ

記事を読む

no image

腱鞘炎

内澤さんの豚を食うイベント「飼い食い」のことや、 明日からのバングラ行きのことなどをいろいろ書きたい

記事を読む

no image

世界でいちばん暑い町と初恋女性との興奮譚

 ブログに書きたいことは多々あれど、相変わらず雑務に追われて時間がない。  自分のウェブについても、

記事を読む

no image

リンガラ語を社内公用語に

楽天につづいてユニクロも社内公用語を英語に決めたそうである。 「日本だけの会社じゃない」という思いか

記事を読む

no image

大学の講義のゲストみたい

上智大学講義、第10回目。 今年ラストの授業のゲストは琉球カウボーイフィルムズ統括プロデューサーの

記事を読む

no image

ロゼをちびちびやりながら砂漠を行く

ごぶさたしております。 20日に東京を発ち、今度はなぜか北アフリカのチュニジアをうろうろしている。

記事を読む

no image

本の雑誌年間ベスト10入り

担当編集者から連絡があり、「アジア新聞屋台村」が「本の雑誌2006年度ベスト10」の8位になったそう

記事を読む

Comment

  1. koikea より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; YTB730; GTB7.0; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729; .NET4.0C; CIBA; InfoPath.3; AskTbTKR/5.8.0.12304)
    お元気そうで何よりですが、相変わらず恐ろしい旅をされてますね。
    とりあえず誘拐されないように、お気をつけください。

  2. h.u. より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    まさかプントランド入りしていたとは。そしてソマリランドから定期便が飛んでいたのも驚きです。
    金三角を股にかけた高野先生だからこそできる旅ですよね。
    ニュースをにぎわわせたりしないよう願っております。誘拐されたら今の日本政府がジャーナリストの解放にお金を出してくれるかわからないので、出版社とファン有志で身代金をカンパするしかないと思います。でも、体験記は売れるかも知れませんね。

  3. 小川清貴 より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.1; ja; rv:1.9.2.13) Gecko/20101203 Firefox/3.6.13 GTB7.1
    高野先生
    「腰痛探検家」を読みました。面白かったです。
    その流れでBlogを拝見しました。
    まさに日本の常識外の国にいるのですね。まるで映画の世界のようです。
    でも、個人的にはかなり惹かれます。
    私も行ってみたい感じです。
    とりあえず、無事のお帰りと体験記を期待して応援しております。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年7月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑