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犬連れ旅はつづく

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

 犬との旅を終え、やっと東京に戻ってきた。思えば、ずいぶんいろんな場所へ行った。

いわき市と南三陸を訪れたあとは、一転して高知の四万十へ。
岡山市で下り、岡山城の周辺で犬を歩かせた。
犬は石垣を熱心に嗅ぎ、歴史ロマンに目覚めたようだった。

四万十では熱帯アジアの川みたいなゆったりと流れる川のほとりを散歩したり、カヌーに犬を乗せてみたりした。
こちらでは農大探検部のヤマダ先輩宅にもお邪魔し、犬は先輩と一緒にカツオのタタキを食べながら、
篠原涼子主演のドラマに見入ったりした。
田舎の家はテレビの画面が異常にでかいので、うちのちっこい画面しか知らない犬には新鮮だったようだ。

東京に戻ってくると、いわき市で世話になっていた後輩ヤマダが上京してきて、そのままうちに泊まっている。
犬はヤマダになついており、大喜び。
「なんか、バンコクのゲストハウスにいるみたいっすねえ」とヤマダはのんびりと言い、私たちは朝からビールを飲みながら
まったり過ごしている。

犬連れの旅は最初は面倒くさいと思ったが、慣れると案外おもしろい。
飲食店に入れないとか泊まれる場所が限られるとか、あとうちの犬の場合、車や自転車などが怖いので、そういうものがないところで歩かさなければいけないなど、
いろいろと制限が多く、それがかえって面白かった。
犬がいなければ、わざわざラブホに泊まったり、岡山城を歩いたり、常に野外で昼飯を食ったりしなかったろう。

次回はぜひ、タイやミャンマーの辺境に犬連れで行ってみたい。

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Comment

  1. みどり より:

    はじめまして。こんにちは。以前から高野さんの書かれた本がとても大好きで読ませていただいてます。海外など行ったことのない私を、秘境の地等々に連れて行って下さってありがとうございます^^ 今日初めてブログを拝見させていただいて高野さんがマドちゃんと高知に来られてたとの事… 高知県民の私。すごく嬉しくってコメント書かせていただきました(*^_^*) 家にも大好きな犬が居ます。そして、私の一番好きな食べ物が『鰹のタタキ』なんです♪♪高野さん、タタキ美味しかったですか!?マドちゃんとの旅が本になったら嬉しいです♪ 楽しみにしてます♪

    • 高野秀行 より:

      カツオのたたきは美味かったですね!!
      魚が新鮮なのはもちろん、生のタマネギ、ニンニク、ネギ(ワケギ?)、スダチと一緒に食べるのがたまらんかったです。
      来年もぜひ行きたいですね。

  2. みどり より:

    うぅぅっ『 鰹のたたき編』にも返信頂けてたんですねぇ…まさかでした…泣きそうです…嬉しくって(p_;)
    鰹も薬味もたまらんかったんですね。私の手柄でも何でもないのにこの嬉しさと言ったら(*^_^*)へへ。
    高野さんに高知をちょっとでも好きになっていただけてたら本当に幸せです!♪ また是非お越し下さいね!!
    もう今日は嬉しすぎてドキドキです。寝られるか心配です…。ありがとうございました!!
    次回のブログも楽しみにしてます♪♪

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    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
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