*

2007年に読んだ本ベスト10(小説部門)

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

恒例(といっても2回目か)の「今年読んだ本ベストテン」である。
自分が読んだということだから、今年出版された本とはかぎらない。
2007年はあまり本を読まなかった。
ベストセラーや話題の本もけっこう手にとったが、途中で断念することが多かった。
特に小説はダメで、おもしろかった本を全部挙げても10冊にならなかった。
本がダメなのか、私がダメなのか。たぶん、両方だろう。
順位は面倒なのでつけない。
佐藤亜紀『ミノタウロス』(講談社)
 順位はつけないと言いつつ、これがおそらくベスト1。現代の日本人がこんな小説を書いたということが信じられない。
今野敏『惣角流浪』(集英社文庫)
 今野敏は小説が巧い。このレベルのものを百冊も書いて、まだ直木賞がとれないのはどういうことか? 『義珍の拳』『山嵐』と合わせて読むと楽しさが三倍増する。
海道龍一朗『真剣』(新潮文庫)
 主人公と著者が一緒に「行っちゃってる」熱い剣豪小説。
歌野晶午『葉桜の季節に君を思うということ』(文春文庫)
 ここ3年で読んだ国内ミステリではいちばんおもしろい。
重松清『いとしのヒナゴン』(文春文庫)
 ヒバゴンをモデルにしたUMA小説というだけで私は楽しめた。重松清は年一冊くらいがちょうどいい。

桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』(東京創元社)

 「戦後」がすでに神話時代になってしまっているのに衝撃を受けた。
チョン・イヒョン『マイスウィートソウル』(講談社)
 今年のベストユーモア小説。韓国人はやっぱり日本人にいちばん近い外国人だと思わせる一冊でもある。
三浦しをん『仏果を得ず』(双葉社)
 芸道小説が妙に好きな私のツボにハマってしまった。

関連記事

no image

このくだらない本がすごい!

正月早々、高橋秀実『はい、泳げません』(新潮社、現在は文庫も出ている)を再読。 超カナヅチの秀実さ

記事を読む

no image

帰国してからあまり読書欲がわかない。 読み出しては途中で飽きる、を繰り返していたが、 開高健『片隅の

記事を読む

no image

アラブ音楽の決定版CD

仕事場である辺境ドトールでバイトしている女の子が念願の音大に合格したというので、 お祝いに「ベリー

記事を読む

no image

元キャバ嬢&風俗嬢にはかなわなかった

「SPA!」の掲載誌が届いた。 「イスラム飲酒紀行」はかなりトンチキな企画で(文芸誌ではできない)、

記事を読む

no image

まくらサイズです。

「在日ムスリムのメッカ」と一部で勝手に言われることもある群馬県・館林&伊勢崎の館林を初めて訪れた。

記事を読む

no image

狂気の起源を求めて

ビルマ(ミャンマー)難民研究者にして本人は医療難民の大野更紗さんのところに シャン料理をもっていく。

記事を読む

no image

タマキングの気づかい

三省堂神保町本店で宮田珠己ことタマキングとトークショーを行う。 驚いたのはタマキングが「Tシャツを2

記事を読む

ノルウェー弾丸ツアー

日曜日に出て土曜日にに戻るという、私にとっては「弾丸ツアー」でノルウェーに行ってきた。 目的は

記事を読む

no image

たまには手紙で

「朝日新聞」が3月31日より「57年ぶりの紙面大幅リニューアル」され、 その特別記念企画としてタマキ

記事を読む

角幡唯介との対談本・本日発売

角幡唯介との対談本『地図にない場所で眠りたい』(講談社)が本日発売になります。 (Amazon

記事を読む

Comment

  1. NYPD より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.01; Windows 98)
    あけましておめでとうございます。
    遅れ馳せながら、正月休み中に『怪魚ウモッカ格闘記』拝読させて頂きました。結果は残念なことではありましたが、ウモッカを通じて登場する熱い人々との関わりが素晴らしく、イッキに読みほしてしまいました。
    それはそうと、作中で、哲学者のパンダさんや友人知人から「いい歳をして」だの「そんなもの探して何の意味があるのか」などと誹謗中傷されて耳が痛いと書かれていましたが、そんなのカンケエネェ!って突っぱねてやって下さい。
    山があるから登山者がいるのと同じで、未知のものがあるから探険があるのです。『ムベンベ』の解説で宮部みゆき氏が記された言葉「こんな世の中だからこそ、こういう本が必要なんだ!」という熱いメッセージを思い出してください。
    日本全国には、高野さんの探険記を読んで熱狂し、行きたくとも絶対行けない辺境地の擬似体験をさせてもらってロマンに浸っている読者が大勢いるんですよ。 高野さんご自身は自覚がないようですけれど、体験を本にして知識を世間に広めるという大業をなされているじゃありませんか!。
    これからはもっと胸を張って体力気力の続く限り、堂々と探険活動を継続して下さい。 芭蕉が「日々旅にして、旅を棲みかとする」と説いたように高野さんは「日々探険にして探険を生業とする」なんですよ!
    それでは、本年も更なるご活躍を期待しております。

NYPD にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

  • 2020年2月
    « 3月    
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    242526272829  
PAGE TOP ↑