*

アブ&すぎえの寿司コント出演受付中

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

2013.09.12abdin-sugie
集英社文庫の担当編集者だった故・堀内倫子さんのお墓参りに行った。
講談社ノンフィクション賞受賞の報告である。

杉江さん、ワタル社長、アブディンと生前、堀内さんと親交のあった四人で多磨霊園を訪れたが、
この四人が集合すると、平均年齢40歳にもかかわらず、なんだか「スタンド・バウ・ミー」のようになる。

お墓の場所がわからないとぎゃーぎゃー騒ぎながら、広大な霊園をうろうろし、
真っ昼間なのにヤブ蚊に刺されまくって悲鳴をあげ、アブのおやじギャグや
守護神ミコライオを先発させて逆に中継ぎから先発につなぐという大胆な広島カープ投手起用案を
繰り返し聞かされながら、お墓参りを終える。
堀内さんもさぞかし呆れたにちがいない。

帰りはどこかで昼飯となったが、ここで最初から懸案事項となっている「何を食うか」という問題が生じる。
アブは大の寿司好きで、私と会うときはそれ以外食べないくらいだが、偏食大魔王の杉江さんは寿司が食えない。

「杉江さん、寿司が食べられないんだから、他のものにしようよ。ピザとかさ」とすごく表面的にアブが気をつかうと、
「いや、ぼくはピザもダメなんです。チーズが食えないから」
「え、チーズもダメ? ああ、もう救いようがないね!」
 このアブの杉江さんイジメはすでにお約束のギャグとなっている。

結局、杉江さんの意向などまるで無視してみんなで調布パルコの寿司屋に行き、またしてもアブが「寿司が食えなくて生きてて何が楽しいのか」と杉江さんイジメを始め、すると杉江さんが意地になって寿司を頼み、片っ端から飲み込む。
「おっ、寿司食ってるの! 食えるの?!」と驚くアブに、杉江さんは「どうして寿司食ってスーダンの人にぼくが驚かれなきゃいけないんだ!」と答え、ほぼこちらの期待通りのコントを大声で展開。
他のお客さんも、笑いをこらえていたにちがいない。

私たちだけが見ているのは勿体ないほどの完成された二人の芸をぜひ一般の方にも見てもらいたいと痛切に思った。
書店のイベントとか、どうだろうか。
アブと杉江さんの寿司トークイベントなんか面白いと思うのだが。

あとぜひやってもらいたいのはラジオ。
アブをパーソナリティにして、レギュラーに杉江さん。
で、アスクルに出てくる人たちを片っ端からゲストに迎えてしゃべってもらう。

それからアブは(これは本気で)広島カープの本を書きたがっている。

以上、アブと杉江さんのお笑いコンビへの出演依頼を絶賛募集中です。

関連記事

no image

タンデム三輪車「トライデム」

拙著『異国トーキョー物語』の最終章に「盲目のスーダン人留学生・マフディ」という男が出てくる。 本名は

記事を読む

no image

伝説の野人

4日に放映されたテレビチャンピオン「無人島王決戦」という番組にに、 早大探検部OBの二名(ふたな)良

記事を読む

no image

花のズボラ飯

久住昌之原作、水沢悦子画『花のズボラ飯』(秋田書店)を読む。 グルメ漫画を読んで、共感したのも初め

記事を読む

no image

トルコ・ワン湖の怪獣

> タカさんというUMA(未確認動物)ファンの方から、今話題となっているいろいろなUMAを紹介

記事を読む

no image

美しき日韓問題

講談社ノンフィクション賞を受賞した安田浩一『ネットと愛国』(講談社)を読んだ。 丁寧に取材した

記事を読む

『バウルを探して』が新田次郎文学賞を受賞!!

川内有緒『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』(幻冬舎)が 第33回新田次郎文学賞を受

記事を読む

no image

イラン行き

もう半年以上も日本滞在が続いていて鬱屈したせいだろう、 発作的に今月23日からイランへ行くことにした

記事を読む

no image

続・能力の限界

これが幻のポスター。 やっと、ブログにアップすることはできた。 しかし、これを元にポスターにするに

記事を読む

ムエタイのちチュニジア飲酒紀行

3,4日前に発売になった「ゴング格闘技」7月号で、格闘家・ムエタイ研究家の菱田慶文先生(帝京平成

記事を読む

no image

なぜか、まだ日本にいる…

なぜか、まだ日本にいる。 ミャンマー取材の許可がまだ取れず、出発が伸び伸びになっているのだ。 本来な

記事を読む

Comment

  1. NONO より:

    呼んで下さい!
    「アスクル」の「恋愛編」とか(含、杉江さん)、「子育て編」「おたっしゃクラブ編」とか。
    ラジオでなくても、寿司喰えなくてもいいです。
    いろんな人とバカ話したい。
    あ、屋久島の日常(ケッコン生活)が、イヤなワケではないですよ、断じて。

  2. ajiketo より:

    私も(必然的にK師範も)基本OKです。
    バカ話大会やりましょう!

  3. 太郎 より:

    NONOさん、無理は続かないですよ(笑)
    TYOで羽を伸ばしましょう・・・・(悪魔の囁き)

太郎 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑