幼児の気持ち
公開日:
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
依然として声が出ない。
ずっと考えているのだが、これはやはり「今日のおりょうり」のインタビューで
えらそうに「日本人は肉の味を知らない」などと20年前の「美味しんぼ」みたいなことを
とうとうと語った罰にちがいない。
じゃあ、黙って仕事をすればいいのだが、
それも進まない。
これはきっと水村美苗『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)を読んだせい。
自分の書いた本を自分で英語に翻訳して出版し、さらにそれを続けようとしている私は
ずっと周囲から奇異の目で眺められていた。
「時間と労力の無駄」とか「後ろ向きの作業」とまで言われたことがある。
なので、「英語が普遍語となる時代に日本語は生き残れるのか」というテーマに強く惹かれたわけだ。
結論をいえば、本書は高度な教養を披露しながらも迷走しまくりの論説である。
明治に成立した美しき日本語(←これが著者にとっての「日本語」)が亡びるとすれば、
英語がどうのという以前に、ネットと携帯による影響のほうが圧倒的に早くて大きいはずだがそれにも何も触れていない。
水村さんは気づいていない、というかそもそも知らないんだろうなあ。
それでも「現代の日本文学の現状」を「幼稚な光景」と断言されると唸ってしまう。
文学がその状況なら、文学も読まずに「作家」を自称している私の文章など
幼児の遊びだろう。
幼児も自分が「すごくおもしろい!」と思って遊んでいるからいいわけで、
自分で「これ、幼児の遊びだよな…」と思ったらやってられないだろう。
いま、ちょっと私はそういう状態なのである。
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Comment
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幼児でも、乳児でも、オヤ児でも「すごくおもしろい!」っと思って遊んでいる人が、「あれ?」と思った時は「でも・・だって面白いから、まあー良いか!」っと思いましょう!。
私も以前、自宅の小さな庭で日夜問わず各国の芝生を管理していましたが、妻から「あなたの’ソレ’は、家庭に何の意味があるの?」っと聞かれた時、「ほんとに私はいったい何をしているのだろう?」(辺境の旅はゾウにかぎる)と思いましたが・・。
高野さんの本は面白いです。そう思っている人がいることは確かです。
また、読者に勇気・自信・活力を与えてくれます。
だから、早めに新作出してください。(笑)。
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まあまあ、高野さん。そうおっしゃらず。
ちょっと主旨が違うかもしれませんが、正しいとか完成度とかって話は減点法な感じでどうにも嫌いです。、数ある評価基準のうちの一つですよ。
TVで見るフィギュアスケートみたいに、失敗しないか決まりと違うことをしないかドキドキしちゃいます。
高野さんはサッカーのFWです!泥臭くてもかっこ悪くても1点獲ればいいんです!
俺は高野さんの本を読むのが楽しくて大好きです。新刊も待ち遠しいです。
それでいいじゃないですか。おばちゃんも俺も応援してますよ♪
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外国に住んでいた時に、(日本人同士で)「どうして日本語は世界に
広まらないのだろう」という議論をしたことがあります。
その時に出た仮の結論は、「全部ひらがなかカタカナにして、分かち書きに
する」「全部ローマ字で表記する」
要するに日本に来ている外国の人、話す・聞くは割と簡単だが、
書く・読むが難しい、でつまづいている人が多いと聞きます。で、漢字を
取っ払ってしまえば、文法や発音や単語は今のままでも、日本語は
世界に広まる、または外国人が日本語を学び易くなる、というもの
でしたよ。
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高野さんの The shore beyond good and evil はっきりいって英訳悪すぎですよ。ゆういつの英訳本があのレベルだなんて。訳者もっといい人いなかったんですか?なので私はこの本を、日本語だともっと面白いんですが…と断りながら配ってまーす。世界中の人に読んでもらうべくコツコツと普及活動をしてるのに。本当に残念ですよ。日本語では面白い部分が全く面白くないんですよね。英語だと。高野さん独自のユーモラスに自分におきた出来事を語るあたりが特に英語だととてもシリアスで笑えないんですよ。なんでかな?あまりの違和感に自動翻訳のソフトでも使ったのかとおもってしまいましたよ。多分高野さん自身が訳したほうがいい感じになるんじゃないかな?期待してますよ!著者&訳者高野に。