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彼もエンタメノンフ?

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


意外に思われるかもしれないが、高橋源一郎の文芸評論が好きである。
今日も『大人にはわからない日本文学史』(岩波書店)を本屋で発見、
すぐ購入、一気読み。
その勢いで、『ニッポンの小説 百年の孤独』や『文学なんてこわくない』も
ところどころ再読してしまった。
すごく不思議なことだが、高橋源一郎が「これこそ『文学』ではないか」と紹介する文章や場面は、私にとっては「ノンフィクション」に見える。
ときにははっきりと「エンタメノンフじゃないか!」と言いたくなる箇所もある。
考えてみれば、私は文学なんて読まないし、さして興味もない。
高橋源一郎が解説するから面白い。
それはジェットコースターには何の興味もないが宮田珠己が書けば面白いとか、
高橋秀実が描くダイエットやラジオ体操の話が好きだというのと
質的にまったく同じだ。
高橋源一郎は実はエンタメノンフ作家なのではないかという恐ろしい疑念がよぎってしまった。

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Comment

  1. nanako より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    はじめまして。
    少し前になりますが、3月27日付けの某夕刊紙で紹介されていたのは、貴殿の作品に登場する「エイジアン新聞社」ではないでしょうか?
    記事を見た瞬間にピン!と来てしまいました。
    貴殿の今後益々のご活躍を楽しみにしております。

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    • で、今気づいたんですが、「千葉ルー」の著者名を間違えてました。「斎東鉄腸」と書いてしまったけど、「済東鉄腸」でしたね。失礼しました。訂正します。 ReplyRetweetFavorite
    • 「千葉ルー」で思い出したのだが、私の知人は「千葉に何年も住んでいて日本語も話す言語研究者で今は故郷に帰っているルーマニア人」だった。彼女も「千葉ルー」だな。済東鉄腸さんのことを知っているかも。 ReplyRetweetFavorite
    • ハックは奴隷じゃなかったですね。すみません、間違いました。 https://t.co/S39LyxaidJ ReplyRetweetFavorite
    • 斎東さんはもっぱらネットやSNSを利用してルーマニア語を習い、「ひたすら現地で実践」という私の語学とは真逆に見えるが、そのやり方は手に取るようにわかる。ネットを通していながら、斎東さんも「現場主義」なんだと思う。 https://t.co/406lKPRFVW ReplyRetweetFavorite
    • 発売当初からずっと気になっていた話題作、斎東鉄腸著『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、ルーマニア語の小説家になった話』通称「千葉ルー」(左右社)をようやく読んだのだが、予想を上回る興奮と感動にとらえられた。言語と文学をこんな… https://t.co/CbvWvyPHWa ReplyRetweetFavorite
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