*

『虐殺器官』の衝撃

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


つい先週、『天地明察』(角川書店)を読み、「今年日本の小説でこれ以上のものは読まないだろう」と思ったのだが、これ「以上」かどうかわからないが、「これに匹敵」する小説を読んでしまった。
伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)。
『天地明察』を読むと「やるぞ!」とむやみに熱い気持ちになるが、
『虐殺器官』は「では、これはこういうことか?」「いや、ここはちがうのでは?」と
むやみに考えたくなる。
急性知的症候群に襲われ、知恵熱が出そうである。
そうそう、本ではないが、今月号の小説すばる「ノンフィクション集中連載・電子書籍キンドルが壊すもの創るもの」も凄かった。
いよいよ日本の読書界では黒船による大激変がはじまるようだ。
それを知るには古いスタイルのこの文芸誌を読まねばならないというのが皮肉だが、
出版関係者・書籍愛好家は必読である。
そんなこんなで、明日からしばらく「大人の遠足」。
帰るのは3月1日です。

関連記事

no image

アジアン・ミステリの傑作シリーズを応援すべし

旅に出る前に紹介しておかなければならない本はないかなと考えていたら、肝心なものを忘れていたことに

記事を読む

no image

朝までカラオケ

4年ぶりに会った後輩と下北沢で飲んでいたら 後輩の終電がなくなり、 朝までカラオケボックス。 カラオ

記事を読む

no image

エンタメ・ノンフ座談会

火曜日、『本の雑誌』の特集で座談会に参加。 テーマは「緊急座談会 エンタメ・ノンフの棚を作れ」。 私

記事を読む

no image

中国40年の狂気

また外出。 町のあちこちで運動会の練習をしている。 「フレー、フレー、赤組!」なんて今でも言ってる

記事を読む

no image

ビンゴ大会で優勝

火曜、水曜と一泊二日で千葉の海辺へ両親と弟一家の総勢9名で出かけた。 一族旅行など初めてのことだっ

記事を読む

no image

超オススメのこの本とこの雑誌!

来週の土曜日(3月4日)から20日まで、ソマリランドとソマリアに行くことになっている。 たかだか二

記事を読む

no image

ケープタウンはよいところ

ケープタウンに滞在中。 ここはヨハネスブルグに比べると、空気もきれいだし 治安もいい。 といっても、

記事を読む

no image

ダメ男子ロマン大作

「人のやらないことをする」がモットーの私は、 これまで盆と正月とGWだけはせっせと働き、 そのほか

記事を読む

no image

ソマリ語翻訳、承ります

ソマリ語と日本語の翻訳・通訳業務を行うことにした。 2年前、私が聞いたところでは、日本に住むソマリ人

記事を読む

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリースされた。 タイトルはずば

記事を読む

Comment

  1. NEGI より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; InfoPath.1; InfoPath.2; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    こんにちは。伊藤計劃さんの遺作長編『ハーモニー』も素晴らしいので是非。行ってらっしゃいませ。

NEGI へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年11月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
PAGE TOP ↑