片野ゆか「愛犬王」発売
公開日:
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
妻・片野ゆかによる本年度小学館ノンフィクション大賞受賞作『愛犬王 平岩米吉伝』(小学館)がようやく上梓された。
正式な発売日は3月31日(金)だが、早いところでは29日(水)、30日(木)には書店に並ぶようだ。
これは、明治三十年に生まれ、昭和六十年に88歳で死んだ平岩米吉という異能の人物を描いた評伝である。
平岩にはさまざまな、しかしどれをとってもハンパではない「顔」があった。
二十代半ばにして当時人気の絶頂だった「連珠」(五目並べ)を極めた希代の勝負師。
動物行動学の父コンラット・ローレンツより、40年さきがけて、動物を半自然状態で徹底観察するという手法を独自に開発した在野の天才科学者。
「シートン動物記」や「バンビ」を初めて日本に紹介し、「動物文学」なる造語をつくった文学の目利き。
犬にとって最も恐ろしい病気フィラリアの治療法確立のために私財を投げ打った篤志家。
柳田國男、折口信夫、南方熊楠、室生犀星、北原白秋、徳富蘇峰、小川未明、まどみちお(「ぞうさん」「いちねんせいになったら」などで知られる詩人)、小山勝清(「それからの武蔵」の著者)、中西悟道(「日本野鳥の会」の創設者)らに、ひたすら動物の随筆や詩、評論を書かせた辣腕編集者。
日本で初めて、自宅の座敷で愛犬の開腹手術を行わせた究極の犬バカ。
犬好きが高じて、狼やジャッカルを飼い、それらを銀座三越の買い物にハイヤーで連れて行った天下の奇人。
こんなヘンな人の一生が、けれんみのない文章でつづられている。
どうです、ちょっと読んでみたくなったでしょ?
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面白そうですね。 明日 本屋に行ってみます
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どんな人か、ぐぐってみたのですが
こりゃまた、すごい。
こんな人をマジで知らなかった自分が恥ずかしいかも。
出版ラッシュ
3月になり、知人の作家2人が立て続けに新刊を発売しました。2人はお互い良き友であり、良き飲み相手(?)であり、そして夫婦でもあるのですが、2人とも本当に素晴らしい才能をお持ちです。高野秀行「ミャンマーの柳生一族」まったくもう、タイトルだけでネタ
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おじゃましたします。
平岩米吉伝を今、読んでます。
(まだ60ページほどですが)。
あまりの面白さに、既に2,3回昇天しています。
読み終えるのがもったいなくて、恐ろしいくらいです。
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先日、新宿紀伊国屋本店で購入しました。
今、むさぼっています。