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ついに「増刷童貞」が破られる

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


 日本帰国後に知ったニュースの第二弾。
 ついにというか、やっとというか、私の「増刷童貞」が破られた。
 私を「男」にした(?)のは、高野本に異常な熱意を傾けてくれている集英社文庫ではなく、意外にも大穴の『極楽タイ暮らし』であった。
 この本は書店ではまず目にすることはないが、アマゾン・ドット・コムでは常に高い売り上げ順位をキープしていた。アマゾン書店でのみ、売り切ったといってもいいだろう。
 自著の増刷は悲願であったが、いったんそれが叶うと、「うーん、別に大したことないな」というのが正直な感想だ。
 そして、それは比喩でなく、私が初めて「男」になったときにも思ったことでもある。
 結論。比喩でない童貞破りも、増刷童貞破りも、それが目標ではなく、スタート地点にすぎないということだ。
 今頃、ずいぶんつまらないことに気づいたものである。

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Comment

  1. 二村 より:

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    おー!おめでとう!!
    今年の辺境映像祭も「高野秀行フェア」状態ですなー。

  2. さるら より:

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    増刷童貞破りおめでとーございます。
    ボクの『極楽タイ暮らし』は中古本で買ったので(すんません)、改めて買い直しますわん。

  3. のなか悟空 より:

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    そりゃ良かった!ほんにメデタイ!

  4. きたしろ より:

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    『極楽タイ暮らし』まだ読んでないから次に読んでみます。
    はじめて書きこみます。最近、高野さんの本読み始めたばっかりで、
    今は「幻獣ムベンベを追え」を読んでます。この間、「ワセダ三畳
    青春期」読み終わって、なんだか切ない感じが心地良かった。
    無事帰国良かったですね。また本に書いてください。

  5. エダ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    おめでとうございますと言いたいところですが、
    「ワセダ三畳」が増刷されていないことに納得できません。
    ものすごく勝手なことを言わさせていただきますが、
    高野氏の著作がちくま文庫で発刊されていたら全著作が
    ロングセラーで増刷を重ねるのではないかと思います。
    でも「極楽タイ」と「異国トーキョー」はちくま向けではないですね。
    (ごめんなさい集英社さん。高野本をありがとうございます)

  6. スギヤマ より:

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    高野さん
    ご無沙汰しております。
    探検部の杉山です。
    帰ってきたとたん、
    漫画化決定に、"童貞”卒業と、
    慶事続きでおめでとうございます。
    だいぶお疲れと聞いてますんで、
    とりあえず、ゆっくりお休みください。

  7. 小林 純 より:

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    私事ですが、僕も自作曲の楽譜「風わたる」が増刷されることになりました。僕にとっては、「お琴のおけいこ判 となりのトトロ」以来の増刷で、自作曲としては、初です。
    Yoshiさんと作曲し、渡が指揮を務めた初演から14年。
    うれしい限りです。初演のメンバー、再演の「むつのを」のメンバーに心から感謝。

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