やさしい日本語
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
以前一緒にミャンマー新聞をつくっていて、今は難民認定を受けているミョウさんと
8年ぶりくらいに会う。
当時彼は居酒屋の店長をしながら新聞をつくっていたが、
その後も波瀾万丈の人生を歩んでいるようだ。
ミョウさんの難民認定を手伝ったのは、やはりその新聞社で仕事をしていた小池昌さん。
フィリピンの専門家で、今は在日外国人情報センターを運営してる。
この二人にミャンマー難民や在日外国人問題をうかがう。
ミャンマー(正確にはカレン族)の第三国定住プログラムでやってきた難民の人たちは
今高田馬場の難民事業本部で日本語研修を受けているが、
3月に研修が終わるまでマスコミからの取材は受け付けていないという。
そして、3月以降は「未定」。
なんとそこから先は国は基本的に関与せず、
個人やNPO、地方自治体、企業などの「有志」に任せてしまうという。
おいおい、タイ・ミャンマー国境の僻地から大都会に呼び寄せて、
有志にお任せはないだろう。
いったいそのあと、どうなってしまうんだろう。
そっちの話は重かったが、小池さんがやっている在日外国人向けの「やさしい日本語」の話は未来性が感じられ、面白かった。
阪神大震災以来、在日外国人への防災指導で、わかりやすい簡単な日本語を使おうという動きが各地で活発化してるんだそうだ。
小池さんは相変わらずのユニークな発想で、この「やさしい日本語」と
世界で話題になっているというgrobish(非英語圏の人間のための共通英語)を結びつけようとしている。
こっちは私もなにか協力ができるかもしれない。
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以前はミャンマーの出稼ぎはよく働くという認識でしたが 一度UNHCRの難民認定を受けると 全く使えなくなるというのが今の私どもの認識です すぐにジョブホッピングするし ビザを取ってくれた場合つまり契約がある場合のみ忠誠心はありますが
UNHCRの人に確認したところ マレーシアにおいて 難民ビザを確保したからといって働いても良いという事にはならなくって 「おめこぼししてね」と言うレベルのものだそうです 「なんじゃそりゃ」みたいな感じですが そんなもんみたいです
AGENT: DoCoMo/2.0 F08A3(c500;TB;W30H20)
波乱万丈なんでしょうね。
日本で書かれたカイトランナー(邦題忘れた)みたいな難民文学を読んでみたいな。