*

「ダ・ビンチ」2月号にてオードリー春日氏と対談

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

2016.01.07da vinc2
現在発売中の「ダ・ヴィンチ」2月号にて、オードリーの春日俊彰氏と対談している。

私はテレビが苦手である。
90年代、住んでいた早稲田の三畳間には十年近くテレビがなかったし、外国へ行っている時間も長くて
たまにテレビを見ても俳優も歌手もタレントも芸人も誰が誰だかさっぱりわからない。
とくにバラエティ番組は内輪ネタが多いので、「○○さんがこんなこと言ってた」とか「この人、××そっくりや」などと聞いても「?」と思うだけなのである。
外国のテレビを見ている気分といえば、少しわかってもらえるだろうか。
もっとコントや漫才そのものをやってくれればいいのだが、たいていはスタジオで喋っているだけだ。
なんだか、連載マンガを途中から読むようで、ついていけないのである。

だから私のよく知っているお笑い芸人も、たけし、さんま、タモリで止まっている。
顔と名前が一致するのはダウンタウンまでだが、それでもどんな芸風なのかは全く知らない。
今回も「オードリーの春日さんと対談しませんか」という話が来たとき、
当然、全く知らなかった。
ネット検索で調べると出演する番組や画像が出てきたが、どれも見たことも聞いたこともなかった。

どうしてそんな人と私が対談するのかというと、春日さんがアフリカやニューギニアなどの「部族」を訪ねるというバラエティ番組のコーナーをもっているからだった。
どんな民族を訪ねているのか見てみると、半分以上は名前すら聞いたことがなかった。
衝撃である。
私がお笑い芸能人を知らないのは当たり前としても、同じように辺境の民族も知らなかったとは!

よくよくネットや民族事典などで調べてみると、多くは保護されて伝統生活を維持している人たちで、
特にエチオピア南部に住んでいる民族がいくつも含まれていた。
たしかにあの辺はなかなか行くのが難しい。
変な話だが、ふつうの旅では行けない。「観光客」として行くしかないようなところなのだ。
ガイドとドライバー付きで一日100ドル、「部族」の人たちは写真一枚5ドルとか、そんなところが多いようだ。

でも、たとえ観光で収入を得ていても、そういう民族は西洋文明化された他の一般住民とは隔絶した生活を送っていることはたしかで、いいか悪いか別として、独自の生活様式をかなり残しているだろう。
そんな民族の村に10も20も行き、短い滞在ながら観光客とは全くちがった接触の仕方をしている春日さんが
正直言って羨ましい。
まあ、そんなことが多少なりとも伝わる対談になっていればいいと思う。

関連記事

no image

100発1000中

「あの映画は何だったのか」シリーズをやるつもりだったのに、 「SPA!」で紹介されていた映画があまり

記事を読む

no image

わが読書人生史上、最高に驚いた出来事

宮田部長の『スットコランド日記 深煎り』(本の雑誌社)を読んでいた。 例によって、四国のお遍路だと

記事を読む

no image

「同志」タマキンさんに会う!

宮田珠己ことタマキング(逆か)と会う。 タマキンさんの『52%調子のいい旅』が幻冬舎文庫から出ること

記事を読む

no image

ファミコンって何だろう?

土曜日にアキバ系中国人のカリスマこと「魚干」君に会った。 まだ22歳、日本に来て半年なのに日本語は流

記事を読む

no image

ワンの大地震

バンコクで大洪水、そしてトルコ東部のワンでは大地震が発生。 私にとって思い入れが深く、知人友人が何人

記事を読む

no image

在日外国人支援ボランティア

世界中の人たちに二十五年もお世話になりつづけている。 そろそろ何か恩返しをしなければと思い、 在日ア

記事を読む

no image

ミャンマーがハリウッドになった!?

『ミャンマーの柳生一族』で、「ローマの休日」をパクッた武田鉄矢主演の映画「フォトグラファー・アンド・

記事を読む

no image

「未来国家ブータン」本日発売

都内の一部ではすでに発売しているらしいが、正式には本日が「未来国家ブータン」(集英社)の発売日であ

記事を読む

no image

多忙につき

多忙である。 おそらく一般の人からすれば「まあ、ふつう」くらいだと思うが、 私のレベルでは「超多忙

記事を読む

no image

私は魔境に生きた

本の雑誌の杉江さんに勧められ、 島田覚夫『私は魔境に生きた』(光人社NF文庫)を読んだ。 ニューギ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年7月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑