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「Brutus」にて“辺境小説”を紹介

公開日: : 高野秀行の【非】日常模様

2016.01.08brutus現在発売中の「Brutus」1.1/1.16合併号の特集は「夢中の小説」。
私も「小説の世界で見つける、未知なる辺境」と題して、日本の読書界では「辺境」と思われている非欧米圏の小説を中心に紹介した。
いわば「辺境小説案内」である。

とはいっても、12冊紹介した中にノーベル文学賞受賞者の作品が2作、ハリウッドで映画化された作品も2作ある。
その他の作品も決して世界的にはマイナーではないし、日本国内でもそこそこ知名度はある。

まだ読者がとっつきやすい小説を選んだということもあるし、非欧米圏の小説はすぐ品切れ絶版になってしまうので現在入手可の作品を探すとどうしても著名作家のものになりやすかったということもある。

日本の読書界や出版界は本当に保守的だとあらためて思う。
だって、いまどき中国や韓国やインドへ旅行に行く人はふつうにいるのに、
中国や韓国やインドの小説を読む人はものすごく少ないからだ。
音楽や映画と比べても、桁違いに閉鎖的だろう。
韓国なんかあれだけ韓流ブームであれだけドラマや映画が流行ったときでも小説は全然売れていなかった。

今回ブルータスに紹介した小説はすべて物語的にとても面白いし、異世界の魅力に満ちているので
ぜひ一冊でもいいので読んでいただきたいと思います。

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Comment

  1. 匿名 より:

    とうとうクレイジージャーニー登場ですね!
    すごく楽しみです。もっとテレビにも出てください。

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    • 今まで野村監督に特に興味がなかったんですが、加藤さんの本を読んで、すごく好きになりました。人間味にあふれた策士というところ、でも言うことは決して奇をてらわないとか。あと、やっぱりサッチー、スゴい(笑) https://t.co/FrRQVs2IX8 ReplyRetweetFavorite
    • あ、そうだったんですね。名監督の知られざる一面を描いているし、著者ご本人の青春記風でもあり、『嫌われた監督』を彷彿させました。落合夫人とサッチー夫人もよく似てるし(笑)いや、面白かったです。 https://t.co/66kmDl74FN ReplyRetweetFavorite
    • 先月から自分の単行本原稿が佳境に入り、読書が全くできなくなっていた。他人の文章が頭に入らない。なんだけど、今日一息ついたあとで、なぜか加藤弘士著『砂まみれの名将 野村克也の1140日』(新潮社)を一気読みしてしまった。あまりにも自分の仕事と関係がなかったのがよかったのかも。 ReplyRetweetFavorite
    • 単行本を一冊書くのはエベレスト登山にも似ている。頂上に近づけば近づくほど一歩進むのが辛くなる。でもようやく『イラク水滸伝』本文の最終稿を書き終えた。あとはエピローグと参考文献、写真のセレクト、地図の作成、ゲラ校正、専門家への確認……頂上までまだけっこうあるな…。 ReplyRetweetFavorite
    • 文庫1位が久生十蘭!そそられる!! https://t.co/OWK4Bvakwo ReplyRetweetFavorite
    • RT : 本当に良かった。 傍聴していた知人によれば、「著しく正義に反する」という強い表現で無罪が言い渡たされたとのこと。つまり、リンさんの孤立出産での死産を罪に問うこと自体が正義に反するとの判断。 これを機に、日本に暮らす全ての女性の妊娠・出産・選択の… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 崩れたとき生きるすべがなくなる。はずれたものを生息する余地をとっておくこと。中心と周縁。クリエイティビティはいかにして生まれるのかについては、秩序にあわない変なものを見つけ、探しにいく勇気、変なものをみつける臭覚のことなど。理系文系の枠を超… ReplyRetweetFavorite
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