運命の出会い(続)

前回のエントリーに続いて『現代化学』との出会いについて
表紙の赤字の見出し『味を変える不思議なタンパク質』の記事は
『レモンや紅茶を甘くするミラクリンとクルクリン』という小見出しと
ともに、こうスタートしている。(著者:栗原良枝)

ミラクルフルーツと呼ばれる実を口に含んだのち、レモンをかじると、甘いオレンジのような味がする。クルクリゴという植物の実は、レモンを甘くするだけでなく水も甘くする。これらの実に含まれる活性成分は、それぞれミラクリンとクルクリンと呼ばれるタンパク質で、味細胞に吸着し、味覚の機能を変える作用をもっている。すっぱいものや水が砂糖なしで甘くなるので、新しいタイプの甘味剤として注目されている。


 
御存じの方も多いだろうが15,20年ぐらい前にメディアでずいぶん取り上げられた
アオキのような赤い実がミラクルフルーツである。
すっぱいものを甘くするという作用はやはりインパクトがある。
しかし、このあとは3ページにわたって、ミラクリンの構造や化学的考察が繰り広げられ
化学に疎いトシなどはほぼ斜め読みするしかなかったが、4ページ目から注目に値する
記述が登場する。

東南アジアのマレーシア地方に野生しているキンバイザサ科の植物クルクリゴ(Curculigo latifolia)は、根元にラッキョウのような形をした白い実をつける。この実を口に含んだあとに水を味わうと甘く感じる。紅茶を飲むと、砂糖なしでも甘くなる。またミラクリンと同じように、すっぱいものを味わうと強い甘みを感じる。昔から現地の人は、この実をすっぱいものに甘味をつけるのに用いてきた。このように、クルクリゴの実は非常に興味のある成分を含んでいるにもかかわらず、従来この成分に関する研究はまったく行われていなかった。

1行目からいきなりマレーシア原産がうたわれているではないか!
そしてすっぱいものを甘くする作用を持っている。
しかも研究はまったく行われていないのだ。
(もちろん栗原先生が行った結果この文章があるわけだが、
少なくとも栽培に関してはまだこれからだろうと思った。)
「これだ!」と私が思ったのもあながち短絡的とは言えないだろう。
おそらく、この引用文を読んで、「?」と思われた方も多いだろう。
すっぱいものを甘くする作用が面白いと言うのはわかる。
しかし、それ自身が甘くて、水や紅茶を甘くするというのは
砂糖以外の甘味料だってそうじゃないの?と。
甘い物を口に入れて水を飲めば水が甘く感じることはあるだろう。
口中に残存した甘い物のせいで。
実はそういうことでないことは、私自身が後にジャングルの中で
実感することになるのだがこれは後述する。
この文章を読んだ私は早速著者の栗原先生に手紙を書いた。
クルクリゴの大量栽培をやってみたいので、栽培方法についてご教授願いたい、と。
栗原先生からは数週間後に丁寧なお返事をいただいた。
郵便受けの中に二三日放置されていて、こちらの悪食のかたつむりに
封筒の差出人部分が食われていて中身を読むまでは誰から来たのかわからない状態だった。
とにかく、石が転がり出したのだ。

“運命の出会い(続)” への2件の返信

  1. AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10.5; ja-JP-mac; rv:1.9) Gecko/2008061004 Firefox/3.0
    あー、ありましたねー。
    なんか不思議なやつ。
    良く覚えてないけど、ホントにレモンが甘くなったのに衝撃を受けた記憶があります。
    こっから、元マレーシアのレンジャー部隊精鋭ノーリさんまでつながっていくわけですか(笑)?

  2. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    2010年にはオバマまで繋がる予定です(笑)。

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