この2,3日クアラルンプールの空はきれいに晴れている。
過去2週間ほどマレーシア西海岸を悩ませていた
スマトラ島の野火による煙害が一応落ち着いたということだ。
2月に起きた煙害は、主に国内の野火であったが
今回は隣国であるインドネシアの問題であり、自らの手で
鎮火や対策がとれないまだるっこしさがある。
マラッカ海峡を越えてやってくる煙は焼き畑や自然の山火事ではなく
油ヤシのプランテーションを作るために、森林伐採するのがめんどうなので
焼き払うという、信じられない暴挙が原因である。
そして、それを行っているのが油ヤシ大国マレーシアの企業(あるいはその命を受けた
インドネシア企業)だ、というのが一般の論調である。
その為、マレーシア政府のインドネシア批判の舌鋒が鈍っている、と。
蝉時雨
密林の夜と昼の一番の違いはなんだろう。
密林を徘徊していると必然的にアップダウンを繰り返す。
そのたびに異なる虫の声、鳥の声、蛙の声などが聞こえてくる。
峠を越えるとほえ猿の叫び声が遠くに響いてきた。
変わった植物が現れ、少しずつ異なる景観を形作っていく。
そんな時のジャングルは、ただただ無限の広さを感じさせてくれる。
『果てしない広さ』これがジャングルのイメージだ。
一方、日が暮れて、漆黒の闇があたりを覆い尽くすと
ジャングルは、自分の存在を中心に一気に凝縮してしまう。
無限の広さに展開していた生き物も全てが自分の周りに
集まってくるような気がするものだ。
湯を沸かした後の小さなたき火の明かりが届く限界点の
直ぐ外に、トラなどの肉食獣が息をひそめているように思える。
どこかに緊張感を持ちながら、昼間の疲れから眠りに落ちていくとき
自分が「生と死の狭間」を越えていくような錯覚に襲われる。
「生き物の密度の濃い空間」これが夜のジャングルのイメージだ。
2つの全く異なるジャングルのイメージを繋ぐのは「蝉」である。
トロピカルフルーツ
かつては、現地でしか食べることが出来なかった
珍しいトロピカルフルーツがどんどん輸入されている。
そしてついに熱帯果実の女王マンゴスチンも
日本で生食できるようになった。
とは言え、まだまだ現地でなければ手に入らない果物は多い。
ここで未知のトロピカルフルーツを紹介するのが常道だろうが
文章でその変わった舌触りや、香り、そして味を紹介するのは
難しいので、今回は熱帯果物がどんな風に『木になっている』のか
について書いてみたい。
ジャングルの薬用入浴剤
首の負傷をかばうせいなのか、肩や背中がすぐに凝ってしまう。
そんなわけで日本にいる時には、薬用入浴剤を使うことが増えてきた。
筋肉の張りを和らげたり、喉の痛みを鎮めたりと、謳われている効能は様々だが
なかなか気持ちがいいものである。
ちょっと前に
ジャングル内で涌いている温泉について書いたが、
今回は動物の入浴について書いてみたい。
海辺のジャングル
世界中どこでも、大きな都市には外の世界と繋がる
なんらかの玄関口があり、そこを中心に開けていくものだ。
近代での玄関口は間違いなく港だろう。
海あるいは大河で複数の外世界と繋がっている。
内陸部では、大きな街道ということになるのだろうが、
やはり、世界に繋がるラインの豊富さは港にはかなわない。
そんなこともあって、世界の主要都市のかなりの数は港湾都市だ。
これまでマレーシアあるいは周辺国の熱帯低地林や、高山のジャングルを
紹介してきたが、実は都市部からもっとも近いジャングルは、海岸線の
マングローブ林ではないかと気がついた。
この虫なーんだ?(夏休みスペシャル)
体長4.5センチ。
角がでかいので、クワガタに見える。
どうやら、カメムシの仲間のようだが、
現時点でまだ、正体は不明。
マレーシア森林研究所(FRIM)
の散歩道で発見した。
樹上の世界
一斉開花という言葉をご存知だろうか?
東南アジアの熱帯雨林では2−7年といういささか幅のある
期間をおいて、森林内の花が一斉に開花するという現象だ。
一斉開花といっても、もちろんかなりばらつきはあるわけだが
林床を歩いていて、落ちている花や果実の量が明らかに違うことがわかる。
40-50mという樹高の熱帯低地林では、やはり樹冠部(つまり木の天辺)が
その一斉開花ぶりを満喫出来る場所ということになる。
ボルネオ島のランビルというところには、京都大学の故井上民二教授らが
作った、有名な樹冠部観察のタワーがあり、熱帯雨林研究者のメッカになっている。
これは、複数のかなり立派なタワーに吊橋が渡してあり、その吊橋から樹冠部を
観察する仕組みになっているそうだ。