『NY1997』 in Myanmar

ミャンマービクトリア山登頂の顛末について
盟友ショウタが自身のブログで書き始めた。
ここに書かれるあるいは書かれているトシのことは、
ほとんどは極端に誇張された話なので
あまりまともに取らないでもらいたい、とお願いする次第である。
それはさておき、この旅行は、
自分の経験でもベスト3に入るぐらいトラブルが次から次へと発生し、
笑ってしまうくらいだったのだが、おそらくショウタが決して書かない
ビクトリア山登山裏面史(そんな大げさなものではないが)をご紹介する。
繰り返して聞かされている人、すいません。


ジョンカーペンター監督の映画『NY1997』をご存知だろうか?
マンハッタン島が完全な無法地帯と化し、というか刑務所として隔離されている
近未来(それが1997年だというのだから時のたつのは早いものだ)、
大統領専用機がマンハッタン島に墜落、テロリストに人質に取られた大統領を
無法者の元特殊部隊員を使って救出させようという(!)
荒唐無稽だけれどもなかなか面白い映画だ。
カートラッセル演じる主人公のスネークプリスキンが、
なぜ政府のいいなりにならなければならないか?その設定がふるっている。
なんと首に、24時間後に爆発する小型時限爆弾を埋め込まれてしまうのだ。
かくして、彼のミッションには24時間以内に達成されなければならないという
時間との戦いも含まれることになった。
なんでこんな話を書いているのか?
実はトシもこのビクトリア山登山で
同じような恐怖を味わっていたのだ!
しかもスネークよりさらに条件が悪いのは
いつ爆発するかわからない爆弾である。
腎臓結石という名の爆弾。
出発の2週間ほど前だったと思うが、トシは結石の激痛で
救急病院に担ぎ込まれた。
どんな体勢になっても軽減されない激痛が注射一本でけろりと
直ってしまうのも不思議だったが、レントゲン写真を見ながら医師から
聞かされた言葉も恐ろしい。
「問題の石自体はそんなに大きくないから、尿と一緒にすぐ出てしまうと思うが
石になりそうな影がいくつもある。また痛くなりそうだったらすぐに
医者に行くように。激痛が始まったら痛み止めの薬なんか効かないから。
注射しかないよ」
この言葉を聞いた瞬間に
『あ、今度の登山はキャンセルだ』
と素直に思った。当たり前である。
ミャンマーの辺境地でこの痛みが起こることを考えると
それだけで気が遠くなる。
ミャンマーのショウタに早速電話で事情説明をした。
「…というわけで悪いけど今回の登山はキャンセルさせて」
「絶対に駄目。今回同行することになっていた
イギリス人のトラベルジャーナリストがぎっくり腰で入院して
行けなくなった。これでトシも行かないとなると、
観光省のみならず、国防省や森林省を無理に説得して
入域許可を取ったうちの会社、ミャンマーで仕事が出来なくなって
つぶれる。一体何人が路頭に迷うと思う?
間に入った何人が顔をつぶすと思う?駄目。死んでも来てくれ。」
というわけでトシはビクトリア山登山に挑んだのである。
このことを踏まえてショウタのレポートを読んでもらいたい。
早い話が、自分の死の恐怖より、怒ったショウタの方が怖かったのである。

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