ここ何日かマレーシアの新聞を賑わしている名前がある。
『Chin Peng (陳平)』という人名がそれだ。
本名王文華。マラヤ共産党の主導者として第二次大戦中の対日抗争(英国より叙勲)や
大戦後の対英抗争(独立戦争ということかな)を指揮した人物である。
マレーシア独立後は、中国、ベトナムの共産党による武装革命に同調し
ゲリラ活動(テロ)を指揮した。
武装闘争中の一般人、軍人の犠牲者は1000人を超えるという。
現在85歳の彼はタイに亡命中で、以前からマレーシアへの帰還を望んでいるが
マレーシア政府は認めていない。
1989年(トシがマレーシアに来た年だ)12月に政府との間で抗争終結を意味する
和平交渉が成立し、マラヤ共産党は事実上消滅した。
彼の同僚たちは続々と亡命先からの帰還が認められたがただ一人彼だけが
認められないでいる。
彼の帰還を認めるべきだと、野党第一党PKR党首で元副首相のアヌワル氏が発言した
ことが今回のニュースの震源地だ。
マレーシアで死にたいと考える彼の気持は理解できるが、
多くの犠牲者を出したテロリストを迎えることに複雑な心境の
犠牲者家族があることも理解できる。
ここはまあ、外国人が口を出すべきではないだろう。
2006年には彼の生い立ちをベースに作られた「最後の共産主義者 Last Communist」
というタイトルのドキュメンタリー映画が封切直前に公開が禁止された
なんてこともあった。
この映画、出来栄えは正直『?』なのだが(なにしろドキュメンタリー映画なのに
セミミュージカルなのだ!)、タイ側の密林に亡命したマラヤ共産党が
現在もそこでコミュニティを作り、生活を続けているという事実に驚がくした。
ちゃんと共産主義者の2代目、3代目も誕生しているのである。
さてではなぜ密林ジャーナルでこんなニュースを取り上げているかということだが、
実はトシのもっともよく行く本格的なジャングルこそ、かのマラヤ共産党が
根拠地とし、政府軍との抗争が70年代まで続いていたため、商業活動が行われず
その結果どの森林よりもよい生態環境が維持されているBelumという森なのだ。
Chin Pengはこの北部マレーシアの森から国境を越えたタイ側に亡命し
共産主義者のコミュニティを作った。
時代は流れ、共産主義者のコミュニティは、観光客も受け入れているということだ。
非公式には何度もマレーシア国境を突破して入国しているらしいが、余命も短くなり
最期を故郷でゆっくりと過ごしたいと考えているのだろう。
テロリストとして彼が成し遂げた唯一の善行が、Belumを
Belum(まだ〜していないという意味のマレー語)たらしめて
自然保護に貢献したことではないだろうか?
犠牲者の冥福を祈りつつ、そのことは素直に感謝したいと思う。
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懐かしい名前ですね
昔、マラヤ共産党に参加していた元日本兵が山を下りてきた際に
御礼を言うために陳平がタイから危険を犯して元日本兵に会いに来た
なんて眉唾物の話に感動したことがありました
北京にでも行ってると思ったらタイ国境にいたんですか・・・・
落ち着いて本でも書いて欲しいもんですけど難しいかな
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本当に懐かしいですね。
映画「Last communist」は映画としては駄作だと思うけど
現在の状況の記録としては面白いですよ。
Chin Peng本人は出てきませんけど。
でも彼も85歳だそうですから本は難しいのではないでしょうかね?