生物資源の未来(つづき)

「地球の未来は生物資源が握っているわけじゃないですか!」
全く同感である。
石油代替エネルギーや素材などの研究者は生物を利用した研究をしている。
やがてその成果が実を結ぶようになるだろう。
その時エネルギーにしても、食料にしても、どれだけ多くの、
そしてどれだけ多様な生物資源を持っているかが勝負になる。
自明である。
もちろん栽培や養殖によって確保できる種類や量もあるだろう。
しかし海や熱帯雨林が抱えている生きものの量や多様性には
到底敵わないのだ。
また大事な条件だが、生物資源の利用が一回きりであってはならない。
何回も何回も繰り返して使える方法を考えないといけないのだ。
そして残念なことに生物資源の維持にはコストがかかる。
いかに世のためとは言えそれを資源を保有する国(多くが発展途上国)が
自分たちでまかなうことはやはり難しい。
利用によって得られる利益(主に先進国の)を
保有国に還元していかなければならないのだ。


 
そう。こういう考え方から生まれたのが生物多様性条約なんだ。
美しい自然を、かわいい生き物を絶滅から守ろう、ということももちろんあるだろうが
『地球の未来(それは人類の未来でもある)は、生物資源が、
そして生物多様性が鍵を握っている』という大前提によって生まれた国際条約なのである。
その生物多様性条約の第十回締約国会議が来年名古屋で開催される。
CBD-COP10がそれだ。
メディアでもちらちらと記事が出始めているし、地元名古屋では
関連イベントが開催されているようだ。
しかし、生物多様性がどれほど近未来の生活において重要であるか、
という点に触れた活動はほとんどないのが実情である。
日本は実は生物の多様性が豊かな国である。
しかし、その豊かな多様性をどのように保持し、かつ利用するか
についてグローバルな視野に立った戦略に乏しいと思う。
何より生物の多様性がどれほど重要なものであるか、認識している人が
少ないのである。自然保護団体の人たちも同様である。
我々を楽しませる自然であるだけでなく戦略物資でもあるのだ。
近い将来、生物資源を確保するための競争が起こるだろう。
レアメタル争奪戦がアフリカで行われているように。
自分たちはどうしたらいいのだろう?というきっかけにCOP10がなれば
いいのだけど。
* かなり偏った意見になってしまったが、
生物資源およびその多様性が人間だけでなく地球全体にとっての
重要な基盤(インフラ?うまい言い方がみつからないが)
であるということは、言うまでもない。
それ以外にも、という意味での「戦略物資」発言であるので
 ご理解いただきたい。

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