マレーシアのジャングルに惹かれて読書傾向も
ジャングルものに集中し始めた1992年から93年にかけて
クアラルンプールの紀伊国屋書店で購入した本だと思われる。
(裏表紙の価格シールに92年6月1日入荷とある)
『アマゾン 生態と開発』西沢利栄・小池洋一著 (岩波新書)
カバーにはこう書かれている。
多様な動植物が生きるアマゾン川流域の世界。そのユニークな生態や川の表情と、自然環境に適応しつつそこに生きる人たちの生活を、長年ブラジルでの現地調査を重ねてきた著者二人が語り、同時に環境を破壊し、人々の暮らしを脅かす開発や経済のあり方を指摘しながら、未来に向けて日本そして世界は何をすべきかを問う。
おそらくリオの環境サミット開催を踏まえて出版された本なのだろうし、
私もサミットに影響を受け、「環境問題も大事だな」という感覚で入手したのだろう。
この本も以前紹介した開かずの事務所に眠っていた蔵書の一つで、
他の本には付箋がびっしりついているものも多かったのだが、
この本の付箋はたった一つだけ、しかもあとがきについていただけだった。
(再読してみると、示唆に富んだとても面白い本だったのだが、当時の私には
それを感知する知識がなかったのだろう)
さて、6行にわたってマーカーが引かれた付箋つきの部分を引用してみよう。
自然保護のために「環境スワップ」と呼ばれる方法が注目されている。発展途上国に対して、膨大な対外債務の一部を棒引きする代わりに、同額分の自然保護政策を求める方法である。しかし、アマゾンの問題を考えるとき、この方法では長期的な問題解決にはならないように思う。「環境スワップ」には、先進国の押しつけがましい奢りが潜んでいないだろうか。これでは、ブラジルの側に、自主的に自然を守ろうという心や責任は生まれてこないように思う。
(P.220)
これは先日当社の主催したセミナーで演者の足立さんが紹介していた
アメリカが30億円ほどの債務を棒引きにするというインドネシアの実例とぴったりである。
マーカー引きまでしていたのに、ちっとも覚えていなかった自分のうかつさに驚く。
しかし、その後に鉛筆で私はこう書き込みをしていた。
「てっとり早い方法として意味はある」
私は大変いいかげんな人間だが、
案外首尾一貫したところもあるのかもしれない…
昔の自分に勇気づけられることは多々あるのだ。