実は大事な作家を忘れていた。
吉田よし子である。
「香辛料の民族学」(中公新書)「熱帯のくだもの」「熱帯の野菜」(楽游書房)など
熱帯を中心とした食用植物に関するたくさんの著作がある。
私が最初に手にした著作は「21世紀の熱帯植物資源」(米国科学アカデミー編)
(㈶農政調査委員会)で、吉田氏はご主人の吉田昌一博士と共同翻訳をしている。
東大農学部農芸化学科卒業後、農林省農業技術研究所に勤め、
夫の国際稲作研究所勤務にともない、1966年から84年までフィリピンに滞在。
吉田氏は化学者の目と、主婦としての感性を持ち、
好奇心旺盛に海外の野菜や果物を取り上げている。
育ちの良さを感じさせる読みやすい優しい文体もさることながら、
食材に大胆に取り組む(料理する)その姿勢がすばらしい。
熱帯作物(食用)を説明する上で実際に料理し、食している
吉田氏に優る案内人はいないだろう。
個人的には「香辛料の民族学 カレーの木とワサビの木」が
お勧めである。
カレーの木?もちろん実在する。
カレー味ではないけれども。
マレーシアでは普通にスーパーで売っているのだ。