10月COP10で採択される予定の『名古屋議定書』における目玉の一つ
ABSについての作業部会がカナダモントリオールで開催された。
*ABSの問題とは、生物資源を利用する際の所有者による許可と
利用による利益還元をどうするか、という問題で、
先進国と途上国の綱引きが行われている一番ホットなテーマである。
コロンビア・カリで開催された前回の作業部会では収集がつかず、
COP10開催国日本の提案で開かれたのが今回のモントリオール作業部会である。
前回のカリ作業部会では、草案原稿中、発展途上国と先進国の意見が割れて協議をすべき
文案(A or Bのように二つの意見が併記されているもの)の数が
あまりにも多すぎて、作業部会はもとより、本番でも議論が終了しない、ということで
部会の議長が2案併記の検討を無視して、思い切った議長案を提出した。
『私ならこうする』という議長主観議定書案である。
双方議論に疲れていたのかもしれないが、この議長案をもとに議論するというのが
両陣営に認められ、もしかすると議定書はある種のまとまりを見せるのか?
と期待させたのだ。
モントリオールの会議の様子がいくつか伝えられているので観てみよう。
共同通信『遺伝資源利用で監視制度も生物多様性作業部会』
中日新聞『遺伝資源、対立激しく 議定書原案、合意わずか2条文』
毎日新聞『遺伝資源:利益配分を義務化 名古屋議定書案策定』
読売新聞『生物利用医薬品 利益配分ルール先送り…締約国会議議定書案』
共同通信は『一歩前進』と書いて評価しているがその他の各紙は、難航を強調している。
条約発効の前後からABSを資源国で見続けているトシからすれば、難航は当たり前。
細部まで規定するような議定書がCOP10で承認されたら、本当にびっくりだ。
日本の国際政治力というか交渉力を見損なっていたと大いに反省しよう。
しかしうまくはいくまい。
ひそかに『私に任せてくれれば』と思うのは…勝手だ(笑)。
結局、9月にもう一度作業部会をやるらしい。
開催国に立候補しているのはタイだそうだ。
ちなみに9月は締約国の首脳会談がNYの国連本部である。
NYで開催されるということで、懸案の米国が電撃加入するチャンスではないか?
と個人的には期待しているのだが、こちらも難しいか。
ちなみに中部経済連合会と日経新聞名古屋支社の共催で開催される
第三回生物多様性セミナー「企業にとってのリスクとチャンスI‐リスク」にパネリストとして参加することが急きょ決まった(ので告知には名前が出ていない)。
ただ残念ながら中経連会員企業のみ対象のイベント。
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この作業部会に参加した方々の報告会が
財団法人日本バイオインダストリー協会主催で
今日の午後あり、出席しますので
新情報があればご報告いたします。