美しいバラには棘がある…

熱帯ジャングルに限らず棘のある植物は数多い。
バラのような美しい植物にある棘は、美しさとのコントラストが
素晴らしいということになるのだが、このブログにも
再三登場して、読者に『?』という印象を与えてきているに違いない
意外な棘の持ち主を今回はご紹介しよう。
ヤシ科の植物である。


 
ヤシ科の植物はココヤシが有名なので
多かれ少なかれあんな風情の木だと思いがちだが
一本すうっと立って頭頂部に鳥の羽のような大きな葉が
放射状についているタイプはむしろ少数派かもしれない。
観賞用植物あるいは商品作物として人畜無害を条件に
セレクトされたものだけがあのタイプなのだ。
少なくともマレーシアでみかける野性のヤシは
獰猛で凶暴で…ジャングル歩きの天敵である。
次の写真が最も凶暴なヤシ科植物『ロタン』である。
これはつる性のヤシで成長したものは籐家具の材料として珍重される。
あのつるつるとした籐家具の感触にはこんなに
獰猛な本性が隠されていたのである。

すさまじい棘である。
またヤシ科の植物に特徴的な鳥の羽のような葉の、葉柄にあたる部分にも
目に付きにくいがかなり頑丈な棘が隠されているのがわかるだろう。

竹の節のように見える部分が棘の集合体。
そしてその葉の表面にも細い針のような棘が。

この細さではひっかけて他の植物に体を固定させることにも役立つまい。
単に嫌がらせでついているのではないか?
全身棘だらけで林床を這い回り、時に他の植物に絡みつく。
その長さは60メートルを超えることもざらである。
悪役としての存在感は十分ではないか。
にっくき植物だが採集した際に出る乳白色の樹液はうっすらと甘く
醗酵させると弱いがちょっといける酒になる。
籐家具にもアルコール飲料にもなる、
ということは役に立つ換金植物だ。
やはり美しいバラの口なのだろう。
個人的には憎らしいが。

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