ミャンマーのケシ代替薬用植物栽培プロジェクト

ミャンマーという国に皆さんはどんな印象をお持ちだろう。ビルマの竪琴、軍事政権、ゴールデントライアングル…
ジャングルという観点からも非常に興味深い場所である。
このサイトの相棒でもあるショウタがヤンゴン在住ということもあり、トシもミャンマーにはそれなりに思い入れがある。
麻薬問題というのも実はミャンマーを語るときに避けては通れない話題である。


先々週の金曜日(2005/2/18)にお茶の水女子大学でミャンマーとケシ栽培に関するフォーラムが開かれた。
女子大とミャンマー、しかも麻薬がらみのフォーラムとは変わった組み合わせだが、内容はかなり興味深い。
主催者は同大の佐竹教授が主宰するNGO
『Myanmar Substitutionary Medicinal Plant Project(MSMP)』で、
ミャンマーのケシ栽培を一般的な薬用植物栽培に転換させようという活動を行っている。
トシは残念ながら前日からマレーシアに戻っており参加できなかったが、このプロジェクトには非常に興味を持っており前々回のフォーラムには参加している。発表内容については、参加された写真家の後藤氏のブログにレポートがある。
このプロジェクトについて考えてみたい。
麻薬問題根絶のためには、麻薬の利用を厳しく規制するだけではだめで、麻薬の供給源を断たねばならないとはよく言われることである。しかし、麻薬植物を栽培することで生計を立てている人々もいることもまた事実だ。
これらの人々は決して麻薬を生産しているわけではなく、ケシ栽培を農業として続けているわけだが、それを止めさせるためには、ケシに代わる収入作物を導入しなければならない。そんなわけで、ケシ栽培を行っている地方の土壌、気候などにマッチした『そば』『梅』『薬用植物』などさまざまな作物が提案されている。
佐竹教授は、もともと厚生労働省で薬用植物の専門家として活躍された方なので、和漢薬を専門にする製薬企業に対する知識も情報も十分ある。そこで、マーケットをきちんとリサーチした結果、栽培管理が出来れば十分勝算があると踏んでスタートしたわけだ。教授は、公務員からアカデミアに来た方には珍しく、ビジネスの感覚をしっかり持っていらっしゃる。このことがプロジェクトにとって非常にラッキーだった。そして、この感覚を持ったNGOは皆無に等しいというのが私の実感である。
「正しいことをやっているのだから皆協力すべきだ」というような傲慢な態度のNGOが世間の共感を得られるはずはない。生活の為に何かをしている人々に、その何かを止めさせるには別の糧を与えるのは当然のことである。そんな基本的なことすらわからずにいる人々が驚くほど多いのだ。そんな意味でもこのプロジェクトは是非成功させてもらいたい。失礼、大幅に脱線した。
ご存知のようにミャンマーは軍事政権による非民主国家ということで経済制裁を受けている。そのミャンマーの外貨獲得に貢献することを厳しく批判するNGOもあり、国際的な企業はミャンマーとの取引に対して腰が引けるところがある。そういった厳しい環境の中で、このプロジェクトがどうやって活路を見出していくのか、今後も見守って生きたいと思っている。

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