クルクリゴとの出会いと横浜国立大学の栗原先生からの
お手紙に気をよくした私は早速自分で栽培をしてみようと考えた。
このフットワークの軽さ(軽薄さ)が私の取り柄である(笑)。
そして、クアラルンプール近郊で農地を貸してくれるところを
探し廻りはじめたのである。
いきなり農地?そう、出身大学では農場第一研究室という研究室の
初代ゼミ長である。
家庭栽培的栽培などは私にとって栽培ではないのである!
狙いは少なくとも1000坪規模の農場だ。
このいきなり大風呂敷を広げる計画性のなさが私の弱点であった(涙)。
帯に短し、たすきに長し、なかなかよい物件がみつからないまま
いたずらに時は過ぎていく。当時は生活のための仕事もあったし。
もちろん栽培地がみつからないだけではなく、コストや運営方法を含め
解決しなければならない問題点は山積していた。
そのうちで最も大きなものは以下の二つ。
遮光をどうするか?
クルクリゴはジャングルやゴムの農園でよくみつかることからおそらく
直射日光は避けなければならないはずだ。すると遮光のネットをつけなければ
ならず、そのためにはフレームも必要になりコスト高になる。
グリーンハウス的設備にしなければならないとしたら、私の手に余る。
手が足りるか?
記事の前半では『ゼミ長の沽券に係わる』という書き方をしたが、それは冗談で、
商業栽培がやりやすいかどうかが、この仕事のカギだと思っていたので
ある程度の規模での実施は譲れないポイントだった。
しかしひとりでそれを見るのはかなり厳しい。
いろいろと試してみたい試験もあったし(ただの栽培ではないのだ)。
その場合、ひとを雇う金銭的余裕があるか?
気が小さい割に楽天的な私は、2番目の人件費をとりあえず無視して
(自分で出来るだけやってみようと思った)一番目の遮光の問題に
しぼって考え始めた。
遮光を含めた設備は言ってみれば初期投資の問題なので
この仕事を立ち上げられるかどうかにも密接に関わってくるわけだ。
車を走らせながら道路脇の空き地や放置されているグリーンハウスなどに
目を光らせていたある日…。