飛行機や電車での移動には文庫本が欠かせない。
寝る前、一人での外食の際など時間があれば読むので
おそらく平均して月に12冊といったところか。
読むのはノンフィクションか、時代小説、推理小説あたり。
読書自体を楽しむ部分と暇つぶしの部分が半々ということもあって
あまり長尺のものは好まない。一番好きなのは同じ主人公の連作集。
それと絢爛たるレトリックのものや、複雑な構成のもの、
頭をうんと使うものも苦手である。
最近、推理物は理解が追い付かなくなってきて敬遠気味。
藤沢周平、池波正太郎、宇江佐真理、伊坂幸太郎、東野圭吾…
どちらかと言うと読み口の軽快な作家に集中している。
体力がなくなってきたということなのだろう。
そんな読書傾向であるからSF小説は本当に縁遠いカテゴリーである。
まず出てくる単語を理解するのが大変だ(笑)。
そしてSFの主題になっているロジックが理解できない(苦笑)。
ところが帯の文章に惑わされてついふらふらと購入してしまった。
=追伸=
作者の藤崎慎吾氏と解説を書いている生物学者の長沼毅氏が
対談しているページを発見。
こちら
長沼氏はNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも取り上げられた辺境生物学界の
ヒーローなんだ。かっこいいよ!
地の果てにこそ、真実がある
『蛍女(ほたるめ)』藤崎慎吾著(ハヤカワ文庫)
その惹句がこれ「大作『ハイドゥナン』の前日譚たる森林環境SF」
そもそも大作の『ハイドゥナン』など聞いたこともないが
帯によると「『日本沈没』を凌ぐ史上最高の科学小説」
ということなのでSF界では知らない方がもぐりなのだろう。
もう一つ帯に書かれているのが
「人間はこんなにも森を忘れ心離れた」
密林ジャーナルとしては読まねばなるまい!
400ページを超す長編ではあるが、途中で挫折せずに読めた。
しかし、小説としての面白さや、たとえ粗削りでも引き込まれるような
魅力に溢れているとは正直言い難い。
登場人物の造形などは、どうも類型的で感情移入できない。
恐怖を感じさせるべき場面も、何やら借り物のようでちっとも怖くない。
しかしおそらく唯一私をこの小説に縛り付けたのは
『森林の複合生命体としての存在』という解釈である。
この解釈は登場人物の一人である植物学者の研究テーマとして
提出されるのだが、科学に疎い私など簡単に籠絡されてしまうぐらい
魅力的である。本作品の中では、知的生命体としての森林が
登場人物に幻覚を見せたり、攻撃をしかけたりという一線を超えた
行動を起こすのだが、それは小説だからしょうがない。
しかしこの解釈、科学的な説明がされ過ぎていて逆に作り物めいて
見えてしまうかもしれないが、私の実感とかなり近いものでもあるのだ。
小説としての優劣はともかく(藤崎さん申し訳ない)、ここに出てくる
解釈は私にはしっくりくる。もちろん登場人物の意見であって、作者の
意見ではないのだが、この作品の後日譚たる『ハイドゥナン』も読んで
みようかと思っている。
タイトルから亜熱帯を舞台にしていることもわかるので
より濃密な森林の描写も期待できるし。
批判めいた文章になってしまったけれども、駄作だということではない。
機会があったら読んでみてください。お勧めではないけど<また批判…
ちなみに帯の『ハイドゥナン』説明文には
「荒ぶる地球との対話を試みる人類、その存在意義を問う2000枚!」
とある。全4巻2000枚の長編か…。
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.0.3705; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; Lunascape 4.7.4)
ハイドゥナンは確かな最新科学の知識をベースにしてますので私は大好きですがかみさんはだめだったようです。
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
ichiさん コメントありがとうございます。
僕も頑張ってみましょうか。
おくさんがダメだった理由はなんでしょう?
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.0.3705; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; Lunascape 4.7.4)
オカルトチックな部分は良いらしいんですが、近接場光顕微鏡やら深海科学等々の言葉がわかんないよぉ!
と言っておりました。
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
ichiさん 私もわからなそうですが、
わかったふりして進めることにします(笑)。