投稿日: 投稿者: toshi

雨の森

ここ数週間というもの毎日昼過ぎからかなりの降水量がある。
午後いっぱい涼しくなることと、問題になっていたインドネシアからの
煙害がこれにより解決してしまったので、決して悪いことではないのだが
あまりにも毎日降ると、それなりに滅入るし、何より道路の冠水などで
交通渋滞がおこるのは困りものだ。


　
過去2週間ばかりの間、なぜか日本からのゲストが非常に多かった。
彼らにマレーシアのジャングルを堪能してもらうのも私の重要な任務である。
しかし、私の好みでアレンジしてしまうと、近場の森林公園もいきなり
サバイバルトレーニングになってしまう恐れがある。
ハード過ぎてもいけないし、かといって
『マレーシアのジャングルってこの程度か』
と思われるのもやはり悔しい。
ここの按配が実に難しい。
先日も、「屋久島にも1時間ぐらいのトレッキングコースでこんな感じの
ところがありますね。」といわれて、これはまずい
（いや別にまずくもなんともないのだが）とちょっとペースを上げ、
予定していた軽いトレッキングコースが、休憩5分が２回、昼食は立ったまま10分ほど、
川の渡渉や岩の多い川歩きも含めた正味3時間半の近場ジャングル堪能コースに
なってしまった。もちろんヒルつきである。
雨というのはアウトドア活動にとって通常、忌み嫌われるものだが、
私はそれほど嫌いではない。
叩きつけるような集中豪雨は命に関わる場合があるので
好きだの嫌いだの、悠長なことは言っていられないが、
しとしと降る雨はなかなかいいものである。
近場のジャングルにありがちな人工物による騒音を消してくれる。
木々の緑や、落葉の色が生き生きして見える。
簡単なルートも難易度がワンランクアップして、充足感が味わえる。
蚊が少なくなる、というメリットもある。
そして、雨があがってしばらくして、静寂の中から
セミの声が聞こえてくる。カエルの鳴き声が、鳥の鳴き声が
そして何かの虫の声が聞こえてくる。
落ち葉の中から立ち上る水蒸気。
すべての生き物が雨を讃え、そしてあがるのを待ち望んでいる。
そんな雰囲気がある。生きている実感が湧いてくる。
しばし感動に浸っている私達は、ヒル軍団の活動再開を
すっかり忘れている。
ヒルだって立派な森の住人なのだと気がつくのは
いつもジャングルを出てからである。
そんなわけで、ゲストのみなさんにはしっかりヒルも
含めたジャングルを味わっていただけることになるのだ。

“雨の森” への14件の返信

  1. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    　その苦労、フィールドは違えど、海外駐在員（在住者）が日本から客を迎えるのと共通なものがあるのでは。
    　ＫＬを案内していて「○○みたいですね。」といわれると、妙にムキになって変わった場所に案内したくなったり。昔は衒って危ない雰囲気があるチョーキット界隈なんかを案内しましたが、いまは平和なマレーの集落の面影があるカンポン・バルなんかにしていますが…。
    　まぁ、日本人をＫＬタワーなんかに案内して、「おのぼりさん」気分にさせるようなことはありませんが。
    　

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  2. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322)
    そうですね。別に馬鹿にされているわけではないのです。
    発言者にとっては単なる比較なんですけど（笑）
    やっぱりむきになってしまうことがありますね。
    ネギシさんのようなマレーシア文化の伝道師にとっては
    特にでしょう。

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